四季彩々 小ネタ詰め
● 星に願いを 「お民、短冊は書けたか?」 「うん!」 「よーし、あんちゃんにちょいと見せてみな」 「ダメ!!!笹に飾ってお星様にいちばん最初に見てもらうまでは、誰にも見せちゃいけないんだって!」 「えー……(ちょっと傷ついた顔)。誰から聞いたんだ、そんな迷信?」 「勇次おじちゃんだよ(⌒▽⌒)」 「勇次!?……ちぇっ、何でぇあいつ、日ごろはちっとも信心深くねぇくせに……(ぶつぶつ)」 「勇さん。あんた短冊は書かないのかい?」 「ん。オレはいいんだ」 「ふぅん?欲が無いもんだねぇ(そのわりにはやけに嬉しそうに見えるけど……)」 夜、笹飾りを見ながら夕涼み。 『合格!!今度こそ童●を捨てられますように』(順之助) 『千両箱!一攫千金!当たり富くじ!!』(加代) 『上司交代、女房交換、姑●●』(主水) 『お民が病気や怪我をしないように』(秀) 『流行り病がはやく収まりますように』(おりく) 「民ちゃんの短冊はどこだい?」 「えーとね、ほらあのてっぺんのだよ、おりくおばちゃん」 「あー、あれね。……なになに?『秀にいちゃんが―――勇次おじちゃんの―――およめさん……になりますように』だって!?!」 「……あ……あ……あのヤローどこ逃げた!?!!!仕事にかけてやる!!!!!!!!」 みんなの願いが叶いますよう☆(特におりく&お民) 【おじちゃんに懐いてるお民にどんな会話から短冊の願いを書かせたのかは、三味線屋の企業秘密です (またの名をW風車の●七Wに倣いW口車の勇次W)】 ● えん 「どうだ」 「うん」 「うんじゃ分からねえ。好(い)いか?」 「悪くねぇ」 「……悪くねぇ、か。いっそ好いと言っちまったらどうだ。意地を張らずと」 「そんなんじゃねぇ。言えばそこで終わる」 「ん?」 「それ以上はねぇからな……」 淡々とした声で、胸の下の錺師は呟いた。 「なんか……。好いと言われるより今すごい告白をされた気がするんだが」 「気のせいだ。ついでに言うと、俺は寝床でお喋りは嫌ぇだ」 くく、と三味線屋の色男は笑い、複雑に絡んだ二つの体にふたたび動きを加えつつ、彼にしか聴こえぬ声で耳打ちした。 「それじゃ、続けるか」 「ん」 秘め事を終わらせない。 *********************************** 裏の仕事人とも思えぬゆるゆるな三文話におつき合い頂き、ありがとうございました。 小説部屋topに戻る
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