ややややった―――――!
ついに来ちゃったよぉ―――秀の「ご・う・も・ん」回。 ハァハァ・・・よ、喜ん(悦ん)じゃいけないよ、人の災難に萌えたりしちゃあ(;゚∀゚)=3ハァハァ
ええと、いま手元にはDVD『新・必殺仕事人(中巻)』付録のブックレットがあるんですが、 いつも感想を書く際に、大まかな回の見どころや出演の役名などをチェックするのに愛用しています。
それで猫の回の次が、例のシーンありということは、モノクロのセクシーカット画面含めて先に知ってはいたんですよね。
でもっ!知ってるからこそ心技?体プラス時間が揃った時でなければ観られねーぜと時機を図っておりました。 そんな無駄な気合いの元、満を持して鑑賞しました今回の作品!


*************************************


上野不忍池に放たれている、諸大名から将軍家に献上された緋鯉・真鯉を盗む鯉盗人(ぬすっと)を、 健気なしじみ売りの少年が目撃してしまう。
その少年は口封じに殺され、少年が慕っていた錺職人の秀が、犯人たちの企みにより鯉盗人の濡れ衣を着せられてしまう!
鯉盗人を捕縛しようと連夜やっきになっている奉行所だが、主水はひとり、 夜勤厭さに仮病を使ってずる休みしているという安定のどクズっぷり!!
長屋に踏み込んだ捕り手たちに問答無用で引っ立てられて行った秀の身を案じる何でも屋のお加代は、 アテにならない主水を諦め、 三味線屋のクールガイに急遽助けを求めるのであった――――。


大まかな筋書は意外とシンプル。でも今回の面白さは、 鯉盗人の発見および捕縛のために不忍池に夜出動している同心たちの中に、なんと首謀者がいたという。 そしてしょっぱなから職権を利用した犯人側の犯罪の一部始終が、視聴者には冒頭で明かされていること。
将軍家の鯉をただで盗んで、それを病気持ちのいる金持ちの家に高値で売りつけている首謀者は、 主水の同僚・島村勝之進。 そして不忍池の番役人・志倉と下男の仁吉の三人がグルになって密漁と密売を繰り返して私腹を肥やしているのでした。
灯台下暗し、という諺どおりに、まさか部下の中にそんな不心得者がいるとは夢にも思わない筆頭同心・田中様は、 いつまでも捕まらぬようならば、 お奉行のみならず自分たちも連帯責任として死罪になるやもしれぬ!と配下たちを震えあがらせます。
しかしながら秋も深まってきた寒空の下、鯉盗人の為の張り込みなんてやってられっかという、 これまた不心得者ってゆうより武士の名折れみたいな侍がひとりおりまして。 腹痛という仮病を理由に、鯉騒動が無事解決するまで自宅療養という名のさぼりを勝手に決め込んでいる中村主水。
その主水がすごろくの『一回休み』みたいに動かずにいることで、 事態が面倒なことになってゆくという主水抜きの中盤までの流れも新鮮です。
そして今回は、加代が色々と頑張ってましたね。
いや頑張るというか、加代の加代らしい女っぽさとか人として痛みを知る優しさ、 仕事人仲間に対する信頼の高さなどが、会話や態度に表れていていじらしかったです。何でモテないんだ?(永遠の謎)
まぁですね、すぐ隣人に秀という性別超えたコケティッシュ妖精が住んでいるので、 加代の魅力がかすんでしまうというのは、新必殺の自然現象として仕方のないことかと思われます。 それくらい、本日の秀も妖精化が進んでおりました・・・。


まず、今回のメインキャストである太一少年が長屋にしじみ売りに回って来るシーンから。
「しじみかぁ」
と外に出てきて加代と顔を合わせ、
「秋ナスと秋のしじみは嫁に食わすなって言うじゃねぇかな」
と、どこかドヤ顔でのたまう秀。
あのぉ、前々から思っていたんですが、秀って多分仲間うちじゃいっちゃん若いくせに、 みょうにじじくさい諺とか口走ることってありませんか?
ほら、例のクズ藩士の回においても、勇次からの依頼にやだねとそっぽ向いた桟橋での場面でも言ってましたね、
「武士は食わねど高楊枝、ってゆうだろうが」
いや、武士じゃねーだろ!と秒で加代に突っ込まれていましたが(大笑)、 おそらく画面ごしに視聴者からも総ツッコミされたはずですね!(受なだけに)
しかも本人はかっこいい事言ってるつもりでいるが誤用とまではいかなくても、 どことなーくピントがずれちゃってる残念さ。 嫁に食わすなって、おめぇ嫁もいねぇくせに何えらそーに言ってやがる。 利いた風な口が見た目にまったくそぐわない・・・可笑しさと愛らしさで速攻●したくなりました!(代理勇次)
加代はもはや妖精のうわ言には慣れっこらしく、そこはスルーしていましたが(笑)。


さて、その後事件に巻き込まれるなど想像だにしない平和な秀、
「今夜はしじみ汁にするか」
と呑気に言ったがために、 加代にごり押しでしじみ代と料理代をふんだくられてしまいます。
「おめぇ、何考えて生きてんだよ!?」
二言目には金を催促する加代に食ってかかるも、何でも屋の看板を示されてグッと詰まるお人好し。
『何でもやって仕事を見つけないと生活出来ないの、職人のあんたと違ってね!』
加代の語らずの声が聞こえたかのように、深く嘆息しながらも銭を渡してやる二人のやりとりにホッコリです。


さて太一坊。母子家庭で、労咳を患う母にかわってしじみを採り売り歩く八歳くらいの少年。
寒水で手荒れが酷くても「平気だよ、川水ってさ、あったけぇんだ」と笑い、 よく買ってくれる加代にはひと掬いおまけまでしてくれるめっちゃくちゃいい子。 「すまないねぇ」と泣く母に「母ちゃん、目から鼻水が出てるぜ?」と言えるくらい明るさを失わない、 母想いで超絶けなげな孝行息子です。
そんな太一も、鯉の生き血が労咳の妙薬とは知っていますが、到底手の届く代物ではない。 だけど太一は、いつか母ちゃんのためにお金をもっと稼げるようになりたいと、長屋で顔見知りになった秀さんに、 ある頼みごとをするのでした。
それは『秀さんに弟子入りして錺職人の修行をさせて欲しい』ということ。 加代の口添えもあり、本気かと尋ねた秀に「いつまでもしじみ売りばかりしてるわけにはいかねぇし」と将来を見越して、 手に職をつけようと考えていると答えるとは、どこまで出来た息子でしょうか。
その返答に、秀は母想いの少年の真剣さに心打たれ、弟子にすることを承諾します。 しじみを売り終わった後に、ここに来て修行するようにと約束するのでした。ここらへんの下りの秀と太一坊のやりとりが最の高。 やっぱり秀は子どもが好き!しかも、
「おめぇくれぇの時に(修行)始めたんだ」
とサラッと気になる発言を。 銀をめぐる簪の回で非業の死を遂げたオヤジさんのところには、そんな小さな時から住み込んでいたとすれば、 その前に親はいなかったってことになりますか・・・。またひとつ、知られざる秀の過去が明かされた(泣)。
とりま良かったね、太一坊!


そんで意気揚々と帰宅した太一は母ちゃんに弟子入りを報告するのでしたが、まだ暗い夜中のうちに一人起き上がる少年。 母が「まだ早い」と言うも「早く行って採らなきゃ、他のやつに採られちまう」と幼いならではのけなげな知恵で、 早々としじみ採りに出かけるのでした。
奇しくもそこは例の不忍池付近。「一匹でいいから鯉が欲しいなぁ。鯉さえ手に・・・」と独り言を言いながら夜道を歩いていると、 こんな時間に聞こえるはずのない水音に気づきました。様子を見に音のする方に行ってみる太一。
すると、二人の侍が見ている前でほっかむりの男が網で大きな真鯉をいましも掬いあげるところではありませんか!
「!!」
いくら子どもでも、これが最近世間を騒がしている鯉盗人だってことは分かります。
葦の陰に隠れて一部始終を見届けた太一、 見つからぬようこっそりその場を離れようとする。 しかし持っていたしじみ採りのための籠がしげみに引っかかって、連中に自分の存在が見つかってしまうのでした。
道具をすべて放りだして必死でその場から逃げおおせることは出来ましたが、 残された籠を見た下男の仁吉はしじみ採りのものだと見抜きます。 しかもその籠には『たいち』と赤字で書かれた木ふだがついており、 失くさないように付けた名札が、悪党によって身元を割られてしまうヒントになってしまうという無情・・・。
クズ同心の島本は、「家族もろとも片付けろ」とその場で志倉に命じるのでありました。 やってる犯罪そのものは単純でも、 バレたら極刑間違いなしの行為なだけに、 どんどん大胆な行動に出る迷いの欠片もないこいつらの神経が怖いです。


一方、太一は自宅に戻らず何故か秀の長屋へ駆け込みます。 昼間のやりとりで、秀さんを頼ろうと閃いたんでしょうかね。
起きていた秀は突然の太一の来訪に驚きますが、 どうしたと訳を尋ねてもなぜか答えずブルブル震えているだけの太一。 しかも、大事な売り上げの入った巾着すら落として、何も言わずに秀の元を飛び出していってしまうのでした。
ムリもない。しっかり者とはいえまだ幼いともいえる少年が目撃したのは重犯罪。 しかも侍たちに捕まったら、 ぜったいに無事ではいなかったはず。 後から怖さがドッと噴き出してきたんだと思うと太一のパニック行動が哀れで仕方がない。
翌朝になり、秀は加代に昨晩の話を聞かせて、太一坊を探してくれと頼みます。 加代もしじみ売りに来るようになってから顔なじみになっただけで、 太一がどこに住んでいるのかも知らなかったのですが、 それでも巾着を落としてそのままいつもの時間になっても振り売りにやってこない太一のことが気になり、 「探してみるよ」と請け合います。
が、加代がようやく太一の住む長屋を突き止めて、訪ねていった時には―――――、 無残にも血を流して倒れている太一と母親の姿がありました。 太一は母を守るように覆いかぶさり、斬られていました。
あまりにも儚い、少年の錺職人への夢。悲痛の面持ちの加代から事態を聞いた秀も、 まったく話が見えずにただ太一の巾着を握りしめ、「太一坊・・・」涙と怒りの衝動をこらえるしかないのでした。


太一と母親を始末させたが、まだ安心出来ぬと悪知恵の働く島本。 逃げる太一を追っていった仁吉が、秀のところを訪ねた少年の足取りを追跡済みでした。
「ガキが逃げるときに飛び込んだ家があります。一人住まいの錺職人でして・・・」
志倉が早速そいつも始末しますと言うのを引き止め、島本が思いついた策略は以下の通り。
鯉盗人を必死で探している奉行所にその錺職人を突き出せば、こっちの手を汚さずともお上の力で片付けてくれる。 しかも、鯉盗人を検挙したっつーことで自分の手柄にもなる。 状況を有効活用して証拠隠滅とは、うまいこと考えました。さすがは腐っても同心。
そしてここまでパレずに悪事を重ねてこられたのは、 ブレーンの島本、実行犯の志倉(警備・殺し担当) ・下男の仁吉(鯉採り・密売担当)それぞれの役割がしっかり決まった盤石のチームプレイゆえでした。 だが悪運もここまでだゴルァ!!!
目撃者の口封じだけでなくおまけの得をしようと余計に知恵を働かせすぎたがゆえに、 快進撃の歯車は狂い始めるのです。 善良な一職人を生贄に差し出したつもりが、実は裏の顔を持つ仕事人だったという。
それが後々また触れますが、勇さんのニヒルな呟きどおりの大・大誤算だったわけですね(意味深)。


なぜか私が不敵に微笑みつつ続く・・・




★ 妄言ノ間「目次」に戻る


★ homeに戻る