一気に書き上げて振り返れば、まだ起承転結の"起"でしかなかったことに気づいて愕然としてますこんにちは。 無駄に長くなるのは、けしからん妖精のせいです。今回もかなりうざぁぁぁ長っっ語りになると先にことわっておきますね。
それでは続きの中編(えっ…)スタートです。


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前回の幕切れから時を遡ること一晩前。太一が夜中に不忍池で鯉盗人を目撃して、逃げ出した直後。 ついに他人に見られてしまったことで逆上した男たちは、三人は揃ってガキの後を追っかけます。
場面は変わり、同じころ料亭が並ぶ柳の木の揺れる掘割沿いを、華やかな妙齢の男女が寄り添いながらそぞろ歩いておりました。 こんな時間にどこの遊び人だよ!?白塗りの芸者が男の肩口に頬を寄せてうっとりと囁く。
「勇さんと二人っきりで呑めるだなんて、夢のよう・・・」
「・・・・・(何も答えず微笑むだけ)」
お待たせしました。お持ち帰り中の三味線屋さんチャラチャラと登場───(≧▽≦)!!! 勇の字また鬼(ママ)の居ぬ間に命の洗濯かい!やっぱり陰日向ありすぎる・・・。
夜遊び用の羽織はこれまた柄も色も派手派手しいですが、 クールな美貌には下品にならずしっくり馴染んでしまうというあり得ない眺めに、一時停止して鑑賞。 私と同じく完全にハート目の嬢のほうが、勇さんにテイクアウト期待大のご様子。 まぁ当然よね。 これから自宅に?いや、後腐れないようにこの先の出会い茶屋でしょう(余計なお世話妄想)。
と、いい雰囲気のところを誰かの駆けてくる足音に気づく勇次。 まずはこんな夜中ただ一人全力で走ってきた子どもに驚くが、 あっけにとられているうちに少年は脱兎のごとく駆け去りました。
続いてその後を武士二人含む三人の男たちが追ってくる。 すれ違い様ぶつかりそうになり、一瞬だけ武士のうちの一人の顔を垣間見ますが、 自分には関係ないことなので黙って見送ります。
これまでも夜遊びの行き帰りに胡散臭い光景に遭遇すること、三味線屋さんには親子共々何度かありましたね。 色悪の私生活は、夜中すぎまで起きて細工に励む真面目職人とは真逆ですが、 ほとんどの勤勉な町人なら出歩かない時間帯にこそ、後ろ暗い事件は起きてるわけで。
今回もこの夜の勇次の目撃証言が決め手になり、犯人の確定ひいては秀の冤罪の恨みをも晴らすことに繋がりました。 秀が感謝したかは別問題ですが・・・。
つまり勇さんは、女同伴の『夜回り先生』みたいなもんなんだよ、秀。ね?(フォローのつもり)


さて、太一坊の衝撃的怪死について何も分からないまま、秀はいつものように黙々と仕事に打ち込んでいました。 そこに、奉行所からの捕り手を従えて同心たちが長屋になだれ込んで来ます。錺職の木札を見つけるとガラッと開けて一喝。
「錺職人の秀はいるか!」
「へい、何か?」
素直に二階から降りてくる秀に、同心が告げます。
「お前が不忍池で鯉を盗んだとの訴えがある」
まるで身に覚えのない話に、思わず動揺する秀。 問答無用で縄を打とうとするのを抗うが、証拠の品を探せ!との号令で捕り手が一斉に部屋の中を荒らし始めました。 ひとりが生ごみを入れておく籠を荒っぽくひっくり返したとき、 野菜くずと一緒に、なんと大きな鯉の頭(かしら)がゴロンと出てきたではありませんか。
秀・・・仕事人なのに、室内置きの生ごみ籠に勝手にこんなもの投げ込まれてたのに気づかなかったなんて!! 魚の頭なら匂いですぐ気づきそうなものだけど、 太一坊の死がショックすぎて考え事しながらだから、もしや普通の感覚も働いてなかったとか?
捕手たちも、盗んだ魚の証拠隠滅せずに生ごみ籠に入れておく方が不自然とは考えないの? いや、考えるはずない、さんざん煮え湯を飲まされてきた鯉盗人を早く捕縛せねば、自分たちのクビが危うくなるわけですから。
ということで、証拠の品を見つけた!と突きつけられた秀、 誰かにはめられた事を瞬時に悟るや、そこからは無抵抗で縄を受けるのです。この潔さよ・・・(泣)。
道を歩いていた勇次は野次馬たちが騒いでいる声に気づいて振り返ります。 すると大通りを縛られた秀がしょっ引かれて来るところを目撃。 ハッとして次の路地に先回りして待ち受けます。このひそやかで流れるような動きだけで魅せる美丈夫。 連行される秀も勇次の存在に気づいたのか(以心伝心!)、 一秒よりも短く、ほんのわずかな一瞬だけ視線が動きます。 目の前を通り過ぎるときには伏し目無表情でしたが、勇次は後ろ姿を険しい表情で見送るのでした。


そしてついに・・・・・お待ちかね(?)のシーン・・・・・
梁から鎖で吊るされた太い横棒に両手を縛り付けられた秀が、 ササラのような拷問具で前後から二人がかりでしばかれております。
素材は竹だと思いますが、それを細かく割いたもので叩かれると、竹刀でやられるのの何倍もダメージが増すらしいですね。 強い鞭を束ねたもので思い切りぶっ叩かれるような衝撃。それが剣を使い慣れた武士にやられるんですから、 下手すると肋骨は折れるし内臓だってやられかねない。 遠目にも細くて硬く締まってはいるけどうっすい腹と腰周りが痛々しくて、 演技とはいえ秀の受けている苦しみは如何ばかりかと、一瞬だけ萌えを忘れて(だけかよ!)目をすがめてしまいました。
必殺スペシャルの『仕事人大集合』において、オランダ船に拉致された勇次が焼いた鉄棒で拷問されるシーンは、 エログロ美しいんだけどトラウマになりました。きよし様がノリノリで演じておられたせいですね(笑)。 今回の拷問も恐々でしたが短かったので、チキンの私にも大丈夫でした。
安心して(オイ)巻き戻し再生。裸の上半身は額や頬、胸や腹に傷が走り、大量ではないものの血だらけです。ごきゅり(生唾)。 気絶しかけたら水をぶっかけられてるので、水とあぶら汗にまみれた肌が妖しく光ります。 さらには濡れた髪がくるくるに縮れて頬に張り付いております。
うーむ。予想にたがわず・・・というより予想以上にじ、じつに・・・じつにエ・・・エ・・・エロぉ・・・・・・グハッ(吐血)
時々目を閉じて半開きの口で何とか息をついでますが、こんなのを間近で見せられたら、 さっきまでのふてくされた蓬髪頭の若造から、なにやら危険なエロスが醸し出されていることに、 同心たちもじきに気づくはずです、、ね?
しかも秀はどんなに痛めつけられても一言も口を利かないし、うめき声ひとつ上げない様子。 同心たちは、こんな小僧、ぶっ叩けばアッという間に腰が砕けて白状するだろうと高を括っていたのではないでしょうか。 どこにその忍耐力が隠されていたのかと思うほどの強情さを見せつけるのは口ではなく、 前髪の奥から睨みつけてくる反抗的な瞳。負けるもんかの不屈の精神を如実に物語っています。
太一と鯉泥棒の関連を知らない秀にしてみれば、仕事人方面のことで陥れられたと考えたとしても不思議じゃないですね。 仲間のことを絶対に漏らさないと死の覚悟をしていれば、よほど鬼気迫る風情であったろうと想…いや妄想出来ます! 可愛い面して強情を張りとおす獲物を屈服させてやりてえと、 嗜虐心を煽られる輩がいても不思議じゃなくない? こ、これは・・・拷問という名の『プレイ』にすり替わってしまってるんじゃ!?


時間にして二分もない場面をものすごく引き延ばしてしまいました。 今回のハイライトだから仕方ないよ!と開き直ろうにも、 起承転結の承もまだ終わってないので先を急ぎます(焦)。
さて、長屋で他の住人と共に秀がしょっ引かれるところを見ているしかなかった加代は、 夜になって中村家にこっそりやって来ました。
門扉は閉じていて、もちろん加代が表から顔を出せる場所ではありません。 加代は小石を拾い、中庭に向かって投げ込みました。閉めきった雨戸に当たり小さな音を立てます。
中では珍しく、せんりつからの過剰なまでの手厚い看護を受けて、至れり尽くせりの夕食中の主水。 四六時中せんりつに見張られている状態でのさぼり休って、ほんとに休まるのか? 小石の音に気づいた主水はチラと雨戸のほうに目をやります。
「どうしました、婿殿?」
給仕に脇に控えていたせんが目ざとく尋ねます。
「いや、何か外で物音が・・・」
腰を浮かそうとするが、ただの野良猫でしょうよと止められてしまいます。 その後も加代は何度か石を放り屋根などにも当たって合図するのですが、ことごとくせんりつに邪魔されてしまい、 外の様子を見に行くことが出来ませんでした。
そしていつもならば、精がつくように作っているしじみの味噌汁が今夜はないのですと、りつが主水に言います。 最近しじみを売りに来ていた子どもが、今日はなぜか来なかった、と。 言うまでもなく、それは太一のことですが、もちろん主水は何を知る由もなく。黙って食事を続けるのでした。
外の加代は待てど暮らせど出てこない主水に焦れて、
「もう。ちきしょう・・・っ」
半べそをかいて呟くと、ある場所を目指してその場から立ち去るのでした。


場面は変わり、すでに三味線屋の店内で仕事中の勇次の傍らに迫っている加代の図。
デュフフフ、頼れる先はもうここっきゃないよね。 勇さん、今夜はお出かけ自粛?やっぱり秀のピンチを知ってしまっちゃ、遊ぶ気にもならんわな(断言)。
今夜は真面目に夜なべ仕事中のようですが、おそらく加代が今夜あたり訪ねてくることは見越してたと思います。 むしろ待ってた?(断言その2)
自分から訪ねて行くわけには行かないし。 後から仲間に加わったというポジションから、三人とは微妙に距離をおいてきて、 そのうえ斜に構えた勇次ですから、秀を案じているだなんて加代にだって勘付かれたくないはずよ(断言その3)。 証拠と言ってはなんですが、秀が番屋に引っ張られたのを目撃して知っているくせに、 加代から聞いて初めて知ったように振る舞っています(ニチャァ)。
「ねぇ、そう思うだろ?秀が鯉なんか盗むわけないじゃないか!はめられたんだよ!ホントの下手人は他にいるんだ!」
「しかしはめられたんなら訳があるはずだ」
「それが分かんないから来たんじゃないか!!」
「わめくなよ」
言い募る加代が熱くなっても、あくまで視線一つ合わせず手元を見たまま冷めた対応をする勇次。 くっ、秀にも劣らぬ意地っ張りめ(ツンデレ×ツンデレ)!
「しかしオレたちのこと、口を割りゃしねぇかな」
あの一瞬目を見かわした秀の顔を見れば、そんなことは命に代えてもしないだろうと分かっていても、 疑うべきところで疑わなければ、加代に乞われてただの情がらみで動くことになりますね。 自分たちはそんな関係ではないはずだという、勇次なりのけじめだと思いました。 思い込みが激しすぎて自分でも何言ってんだか分かりませんが、ハイ。
そこで出た加代のシンプルだけど強い言葉に胸を打たれました(私が)。
「殺されたって口を割るような男じゃないけどさ、やってもいない秀を下手人にしておくなんてほっとけないじゃないか」
いや〜やっぱり加代も秀が死ぬ覚悟で黙って捕まったこと、ちゃんと分かっていたんですね・・・! その上で勇次に協力を求めている。 仕事人の容疑で捕まったのならば、 獄死したって仕方ない。 でも冤罪をかけられて窮地に陥っているのを助け出せるのは、仲間しかいないじゃないか、と。
そんな心が通じたのかどうか、
「・・・で、オレにどうしろってんだ?」
勇次がついに重い口を開く!待ってましたとばかりに、わずかに開いたクールガイの心の隙間にねじ込む加代。
「奉行所の様子が全くわからないからさぁ、八丁堀に務めに出るように言って欲しいんだよ」
「―――」
作業しつつ、勇次が聞き耳を立てて集中しているのが伝わります。
「勇さんだったら、あのうちに入って行けるだろ?」
だって!加代かしこい! どうにかして八丁堀を奉行所に引っ張り出さねば、町人の自分たちでは役所内のことには手が出せない。 勇次は秀の捕縛を目撃しても、八丁堀がいればどうにかするだろうとも思い、傍観していたのかも知れませんね。
秀の身柄を解き放つには、あの昼行燈を引っ張り出さすより他に道はない。 口を割らなくとも、拷問に耐えられる体力も時間も限られている。
勇次はそこで始めて、加代の顔を横目でちらっと見ると、後は黙って続きに戻るのでした。GJ加代!!


翌朝、手籠に色とりどりの花を入れた花籠を下げて、羽織姿の師匠が中村家の門戸をくぐります。 今回何度衣装が変わったでしょうか。眼福眼福。
「ごめんください」
愛想よく声をかけると、すぐに飛んできたせんが驚きの声を上げる。
「ンまぁ、お師匠さま・・・!」
あらたまった羽織姿も花籠も、見舞いの為の礼節と見せてせんりつを悦ばす為と思うのですが、狙いどおり二人は大歓待、 婿殿に師匠の来訪を伝えるのでした。
「お加減はいかがでございますか?」
こっちに背を向けて丸まった布団に向かって作り声で愛想よく声を掛けると、
「あいにくだがまだ死んじゃいねぇ」
ボソッと勇次にだけ聞こえるよう返す八丁堀です。何用だ、こいつが来るとロクなことは無ぇと言いたげな不機嫌な声。 負けじと勇次も、向こうでお茶を淹れているせんの隙を伺い、 要件を告げます。
「秀が鯉盗人の容疑で捕まっちまったんだよ。のんびり寝てる場合じゃねぇだろうが!」
この一言、語尾がかなり怒ってたよね、勇さん(^O^)。 一刻も争う時なのに性格の合わない八丁堀が呑気に寝ているのを見たら、 秀の身がより心配になってきたのかもしれませんね、ぐふ。
ともあれ勇次のドスの利いた本気の声で、やっと目が覚めるサボり魔。
「何だって?」
布団を跳ねのけて起き上がったので、せんとりつが驚きます。まだ寝ていなければという女たちに、
「いや、いつまでも寝込んでいては、由緒ある中村家の主として情けのうございます。わたしくはただいまより務めに・・・!」
「あなた、今朝も痛い痛いと」
「南町同心としていつまでも弱音を履いているわけには・・・っ、ゴホッゲホッ」
痛かったのは腹のはずだが? クサい芝居にせんりつは感激。そんな茶番を見て、勇次は笑いを噛み殺すのでした。


ようやく役者がそろい、ついに後編へ・・・。 ここまでお疲れさまでした!



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