まずはタイトルにそそられます。猫を「捕獲する」じゃないの?と思ったらほんとに「逮捕」だったので笑いました。
この回は一貫して秀が素直?で可愛いのが印象的でした。 ただし勇次にではなく、八丁堀に対してです(笑)。いったい何がどーした・・・?


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 南町奉行所に新顔が入ってきた。真面目そうな青年・三枝(さえぐさ)吉之助の教育係を田中様に命じられた八丁堀。 面倒くさがりつつとりあえず最初に教えた同心心得とは、『要領』『目立つな』。ぽかんとしている三枝(笑)。

 大物やくざ・根津の鉄蔵の息子・禄太郎は、旗本のドラ息子たちを用心棒にしてつるんでは、 町のあちこちで迷惑行為を繰り返している。 ある日、左官の松吉に因縁をつけて袋叩きにしているところを止めに入った自慢の一人娘・ お久に目を付け、宅に連れ込みます。
 手ごめにされる寸前で、娘を助けに包丁を持って乱入してきた松吉ともみ合いになるも、 部屋に鎮座していた特大の招き猫が落下。 頭を直撃された禄太郎は、松吉の目の前であっけなく死んでしまう。
 報せを聞いた八丁堀が新入りと駆けつけ、状況を確認します。 この父娘はむしろもらい事故の被害者の側だとすぐに見て取るが、とりあえずはふたりを番屋へ連行。
 町の人々から嫌われていた禄太郎の死は瓦版にもなり、松吉の人の好さを知る人たちの同情の声が高まる中、 奉行所の対応をめぐってしょっ引いた八丁堀が注目されてしまう事態になるのでした。

 三味線屋では、加代が持ち込んだ瓦版を一読した勇次が、
「八丁堀も妙なことしょい込んだもんだな」
「あの人らしくていいじゃないか」
とおりくさん。具体的にどのへんが? 要領よく振る舞ったつもりで何故か貧乏くじを引いてしまう間抜けなところでしょうか(笑)。
 サラッと口にしているけれど、視聴後振り返ってみると意味深に思えるセリフです。 おりくはすでに八丁堀の本質(人間臭さ)を見抜いているらしい。秀のことも「よく知ってる」と言ったように(23話)。 一方息子の勇次は、侍としての八丁堀の建前しかまだ見えていません。 それが後の勇次VS主水の対峙シーンに、リアルな緊迫感を持たせているように思います。後付けの憶測に過ぎませんが・・・。
 ともあれこの場面では、八丁堀の手に負えなくなって裏の仕事に回ってくることを期待する加代が、
「人の不幸に付け込んじゃいけないよ」
と釘を刺されてしまうというところで終わり。調子に乗らせず言うべき時は言う、引き締め役のおりくさん頼りになるわぁ。

 仲間三人は情報を共有しましたが、残るは一人。 やすやすと三味線屋なんかに顔を出さないツンデレ猫の元に、自らイジられに出向くドМの八丁堀。
 この二人がふたりきりでいる時の空気感ってなんなの? 秀んちの居間でごく当たり前のように持ち込んだ弁当か何かを広げる同心。 対する家主も、ちゃぶ台をはさんで怠惰にお付き合いしております。 対面じゃないところがかえって萌えるんですけど〜(´∀`*)ポッ
 八丁堀も緩すぎも鋭すぎもしない素の自分を出して、まったり馴染んだいい雰囲気。 こんなとこ勇次に見つかった日にゃ大変なことにっっ。 あ、つーかもう見っかったから、のちのち八丁堀に面当てのこき下ろしをしたってことか・・・(察し)。
 話題になるのはここでも勿論例のお裁きの件です。今のところ八丁堀の見立てでは、 たちの悪いヤクザが相手では、松吉は良くて遠島、最悪の場合は死罪もあり得る。 つまり奉行所もヤクザを刺激せぬように、事を荒立てることなく幕引きを図るだろう、と。理不尽すぎる。
「どうにかしてやれよ。御身大切もけっこうだけどさ」
 焼き芋の皮をむきながら(おやつかな)、歌うようなさりげない口調で諭す天使。 人の不幸で銭もうけを企む加代とは心根からして違います。いやそこが好きだけど加代。
 秀に言われて八丁堀も本音を打ち明けます。 お白洲を担当する日高奉行は、退職を間近に控えた超ベテラン。 これが何を考えているのかよく分からない人物で、現役最後の裁きをどう仕切るのか皆目見当がつかない、と。
 そうこう話しているうちに加代が帰ってきました。 町の人々の嘆願する声を引き合いにずけずけと八丁堀に噛みつくも、秀がやんわりフォローを入れる。
「八丁堀はよ。無実の人間が下手人にされちまったんで後味が良くないんだとさ」
 今日はどうした秀?いつもは頭っから八丁堀の保身をばっさりぶった切るのに。 八丁堀なりの事情(心情)を酌んでいるのか、今回のヒデエルは少しばかり素直です。

 奉行所の実情を知り尽くしている平同心の心も知らず、 新入り君は入牢中の父を案ずるお久を懸命に励ましてやっています。 「肩入れするな」と三枝に釘を刺すも、 正義感に燃える青年は耳を貸さず。
「そういうやつが深みに落っこちるんだ」
 なんのことか分からんだろうなぁ。
「私は大丈夫です」
「いや大丈夫じゃねぇ。お久は下手人の片割れだ。あんたのために言ってる」
 止めろと言われても、健気なお久への同情もさることながら、次第に若侍の心は個人的にも彼女に傾いてゆきます。 ついに単独で自宅を訪ねては、父への差し入れの弁当を預かってゆくまでに。
 ある日、お久の元を三味線の師匠である勇さんが様子見に訪ねてゆくと、長屋の路地でひとりの若侍とすれ違いました。 その後ろ姿を見送って、なにやら得心のいったようにひとり頬を緩める色の手練れ(笑)。
(フッ…どうやらオレの出る幕じゃなさそうだ)
ってな感じですか、師匠!恋っていいね、そんじゃまーオレもあいつの顔見に行っとくか( ̄∀ ̄)・・・と、 その後の師匠の遠回り先が見えるようです(また寄り道して遊んでたことは母には内緒)。

 ついにお裁きの日になりました。 南町奉行所に日高様の駕籠が到着すると、松吉の命乞いの歎願のため、門前に押しかけた町人たちを目の当たりにするお奉行。
 迎えられた一室に与力の田中様を呼び出しておもむろに尋ねたのが、禄太郎を死に至らしめた例の招き猫のサイズ。 わけも分からず答える田中様に、お奉行は一言こう命じました。
「それを召し捕ってまいれ」
(ンもう、わけ分かんない!とにかくこんな間抜けな役目、やらせるとしたらあいつしかいないわよねっ)
 と、内心で小指を立てて憤っていたかどうかは分かりませんが、田中様に指名された八丁堀もさすがに一度は渋ります。 しかし袖の下をちらつかされると態度一転。 それを見ていた三枝はげんなりした顔を隠しもせず、 他の同僚たちも馬鹿にします。
 しかし、一度開き直れば蛙の面に水鉄砲の昼行燈。ヤクザの宅へと捕り手を従えて大勢で押しかける。
「本気ですかい?」
 さすがにヤクザからも呆れて訊き返されるも、
「この野郎が一番悪いんだ。ニャン(←)にも言えねぇようにちゃんと召し捕れ」
 かくして町中の笑い者になりながら、大八車の上に厳重に縄をかけられた特大の招き猫は、 大真面目に下手人として奉行所にしょっ引かれてゆきました。
 茶番にしか見えない大騒ぎを、人波の中で見ている加代と勇次。八丁堀、何考えてんだ?って顔してますね(笑)。

 お白洲に引き出された招き猫が中央に据えられ、松吉父娘と根津の鉄蔵が左右の筵に控えています。 しおれきった松吉はもう諦めモード。
 日高奉行は、ひっ捕らえた招き猫に向かって殺害の是非を問いますが、答え…られない下手人!そりゃそうだ。 そこで『己の罪を認めた』という判決を下され、 殺人の罪により三宅島への遠島を厳かに申し渡されるというまさかのオチ・・・!?
 一番の被害者は招き猫なんですが(ほんと可哀そう笑)、 日高奉行のこの粋な機転によって、無実の善良な町人の命が救われたのでした。
 しかしこの沙汰に当然承服出来ないのは鉄蔵のほう。 不満を訴えかけるも、それを予期していたお奉行が先回りして上手く制してしまうのです。 頭脳戦でヤクザの訴えを退けましたが、これで鉄蔵側には深い遺恨を残すことになりました。
 同心たちの執務部屋でもそのお裁きの事でもちきり。 「隠居だからって、いたちの最後っ屁みたいな裁きだ」と揶揄する者もあれば、 「そんなことない、大したもんだ」と感心する者、「へそ曲がり」と評する者。
 周囲の雑音をよそに、八丁堀はひとりゴキゲン。 思ってもみない解決の道をつけてくれた日高奉行には小気味好さを感じるし、 加えて猫を逮捕したお手柄の特別手当まで頂いた(田中様、約束守ったんですな)。 さらに奉行の裁きとそれに関わった中村主水の名は再び瓦版に書かれ、 一躍時のひととして良い意味で注目されることになったのですから。
 案の定、ヤクザの宅では出回った瓦版を見て、恥をかかされた鉄蔵が大激怒中。 死んだ倅の落とし前をどうつける、とワル仲間だった旗本のドラ息子二名を責め立てます。 彼らとしても笑い者にされたままでは武士としての面子が立たない。「必ずあの親子を斬る」と誓います。
 いい話も何やらきな臭いことになってきました。

 場面変わって秀んち。加代も居て、ふたりでいそいそと宴会の支度を進めています。 だからって秀、なにも狭い家ん中で尾頭付きの魚を焼かなくったって。煙いだろ! いったい何が始まるの?と思ったところに、本日のメインゲストがのっそりと入ってきました。
「あーら旦那」
「調子がいい野郎だ」
 瓦版でグッと株を上げた八丁堀におべっかを使うも、八丁堀の顔色は思ったより冴えません。
「役人もたまには粋なことするじゃねえか」
 八の顔を見ることはせず、魚を熱心に焼く"ふり"しながら遠回しに労をねぎらう秀が可愛い。 万年ボンビーたちが懐をはたいて支度した祝い酒もそっけなく断ると、秀に向かって頼み事をします。 それが八丁堀がここに来た理由でした。
 面子をつぶされた鉄蔵らはこのままじゃすまない。日高様はもう退官しただのご隠居になったからには、 ヤクザらが罰を恐れる気遣いもない。
「そこで秀。おめぇそれとなく見ててくれねぇか?」
 大嫌いな役人というものをちょっぴり見直したせいか、秀は二つ返事で引き受けるのでした。 やっぱりいつもより素直だニャ。

 かくして、隠居後の日高様の行動をウォッチし始めた秀。 日高様は同じくらい年配の従者を一人だけ連れて、太公望気取りの釣り三昧。 重責から解放されのんびりと日々を楽しんでいる様子は微笑ましく、 秀も川辺でスケッチするフリをしてそれとなく監視しているところに、 釣り場を譲って貰えまいかと向こうから声がかかります。
「いいですよ」
 短い船着き場を快く譲って、自分は近くの大きな木の下に移動しました。 すると向こうからお久と三枝が仲睦まじく歩いて来るのを見つけ、隠れて様子を伺います。いつの間にこの二人・・・。
 ところが秀が彼らに一瞬気を取られた隙に、根津の鉄蔵の手下が日高様をどこからか狙っていたのです。 突然飛んできた一本の矢が、元奉行だけを狙い撃ち。他にさえぎるもののない場所のこととてうまく急所に命中し、日高様は即死。 従者の悲鳴を聞いて、三枝とお久が駆けつけるも時すでに遅し。
 目の前で完全にしてやられた秀は、歯噛みして茂みの枝をへし折りつつ隠れて騒ぎを見届けるしかないのでした。

 日高様殺害の噂で同心部屋は再びもちきり。名裁きと持ち上げていた者たちも、恨みをかって殺されたとあっては、 「妙な裁きをせずに長いものに巻かれとけばよかったんだ」という手のひらを返したような反応。
 あまりに不条理な結果に収まらない三枝は、田中様にこの一件を任せて欲しいと訴え出ますが、即却下。
「仕事に私情は禁物だと教えたでしょう!」
 さらに、もう隠居の身だからこの一件もすでに奉行所と関わりないこと、普通の殺人として扱うと言い切って、 同心全員にこれ以上の深入りしないようにと命じます。 職務に抱いていた理想と現実の大きすぎる違いに、失望を禁じ得ない三枝を、八丁堀も遠目に見ている他ない・・・。

 命の恩人である日高様の死を知って、松吉はショックのあまり寝込んでしまいます。 お久は父の看病につきっきりでしたが、夜になり父が寝入った後、思いつめた様子で家を出て行きました。
 その頃、三味線屋では。 突然、色男の物憂いうつむき顔が大写しになり、ドッキリした直後、よく見れば何かを弄っている手元が映りました。 長火鉢を前にして、火箸で灰をならして手遊びをしている色男の図!!イジイジした感じが可愛すぎるよ勇さぁーーーん!!!
 続きの間で針仕事をしていたおりくが、倅のそんな様子に気づかない筈がありません(笑)。
「勇さん、何考えてんだい?お久さんのことだろ」すかさずツッコミ。
「・・・・・」←図星
 息子のことで母に分からないことは何ひとつないのですよね(キャッ)! まさにそのタイミングで誰かが訪ねてきました。それはたった今話題に上がっていた本人でした。
 いらっしゃいと迎えた勇次に、お久は三味線を差し出し「張り替えてください」ときっぱり。 とりあえず確認するも、まだ糸は緩んでいない。 それを告げると、その言葉を待っていたように胸元から何かを取り出して床に置きました。
 勇次が無言で手に取り包みを開いてみると、 五枚の小判と、『根津の鉄蔵を殺してください』と書かれた一枚の紙が出てきました。
「お願いします」
「・・・これをどうして私に?」
 来店の目的を知った勇次が静かに問うと、お久は思い余った様子で師匠を仰ぎ見て訴えるのでした。
「すみません。私には他に頼める人がいないんです!」
 自分たちを救ったが為に殺されてしまった日高様に、申し訳ない気持ちでいっぱいのお久は、 世事に詳しい(に違いないと勝手に見込んだ)師匠ならば、 晴らせぬ恨みをお金で晴らしてくれる人を探してくれると思ってやって来たのでした。
 こういう際どい相談を持ち込まれがちですよね、ここの三味線屋さんは。 世故にたけた謎の凄みのようなオーラを、母子そろって醸し出しているからでしょうか。 包みの中身にまったく驚かない時点で、お久は(さすがは師匠!)と安堵したに違いありません(笑)。
 とりあえず預かっておくと答えて、お久を帰した後。 姿を隠して一部始終を聞いていたおりくが、「何か変な気分だね」と呟きます。 命を救われた無実の人間が、今度はその恩人のためになけなしの金を投じて人殺しを依頼するという罪を、自ら犯そうとする。 これじゃ救われた側が、なおさら重い運命を背負わされただけじゃないのか? 死亡現場を目の当たりにし、その死を悼むだけでは気が済まないお久の衝撃と決意は致し方ないとはいえ、 憐れみを禁じ得ないおりくと勇次。
「・・・しかしこの仕事は八丁堀たち(!)の手も借りねぇと」
 勇次の言葉に黙って頷くおりくさん。加代をたしなめたものの、自分たちの方から裏の仕事を持ち掛けることになるとは。

 隠れ家で仕事料を前に、勇次がしおらしく八丁堀に向かって言います。なぜかおりくさん不在。 お久の師匠は勇さんだからってことで、この場に加わらなかったのかも。
「八丁堀。手ェ貸してくれねぇか」
「うん。松吉親子の気持ちもよく分かる。仕事としても依存は無ぇ」
 即座に、しかしあくまで慎重な八丁堀の返答に、奥に座っていた秀が振り絞るように呟きます。
「俺は、日高様があの場所に居たのに・・・」
 途切れた言葉の代わりに、自分を責める表情が切ない。 ところが快諾するにみえた八丁堀がさらに言うには、
「しかし根津の鉄蔵の仕業か証拠が無ぇ」
 この期に及んでかよ!?
「何言ってんのよ。あいつに決まってる」
と加代。秀も同調して、
「証人がいるぜ、八丁堀。三枝とかいうあんたの後輩だよ」
 あのとき三枝ならば、逃げてゆく男たちを見たかも知れない。しかしそうまで言ってもまだ渋る八丁堀。
「ところがあの男、おれを避けてるんだ」
 最初に教えられた『要領』と『目立つな』の忠告は、お久と恋仲にまでなった真面目な三枝にとって、 もっとも唾棄すべき世渡りの知恵。先輩としてすっかり信用を失い、距離を置かれてしまったわけです・・・やれやれ。
 秀の口から三枝の話が出たことで、励まされた勇次が(うふ)重ねて持ち掛けます。
「何ならオレの方からその話を確かめてやろうか?」
 しかしそれでも頑なな八丁堀。
「いや。それには及ばねぇ。あの男は他人(ひと)には触られたくねぇんだ」
 パッと見、わざわざ藪をつついて事を荒立てたくないという、いつもの保身のセリフに聞こえます。余計なことするな、と。 役人の三枝がその目撃証言をすれば、さすがに田中様も見過ごすわけにはいかなくなる。 しかしすでに役を降りた人の為に、奉行所がヤクザの矢面に立つ義理はなし・・・みたいな?
 勇次もそう受け取ったのですね。八丁堀の返事を聞くなり、堰を切ったように吐き捨てました。
「また始めやがった。役人なんてなぁ下らねえな。すぐに筋だの建前だのって―――。 弱いもんの悲しみがまるで分っていねぇんだよ!!」
 ガァーンΣ( ̄ロ ̄lll)・・・・・・・ゆ、言うてもうた・・・これはかなり手厳しい口撃・・・。 スッと場の空気が冷え込み、殺伐とした緊張感が画面からも伝わりました((((;゚Д゚))))
 八丁堀の烈しい怒りがまるで小宇宙(←)のように立ち昇り、不気味に押し殺した声で、
「・・・もう一度言ってみろ」
 ここにおりくさんが居なかったのが、実は熱い男の勇次をして、 売り言葉に買い言葉の暴走を許してしまったとしか思えません!(冷汗)
「ああ。何べんでも言ってやらぁ…」
 その瞬間。秀がキッと目を上げて勇次を制する一瞬のアップ顔がカットイン!!キャーーー(≧∇≦)!!!

秀の心の声『もう黙ってろ勇次!!!』

 この秀の表情、勇次の方が八丁堀を誤解しているんだ!ってことを言いたかったのでは? 事件の最初から八丁堀の本音を聞いていた秀だからこそ、 三枝を他の人間に触られたくないといった八の真意に気が付いたんじゃないでしょうか。 なぜなら、まともな奴ほど馬鹿を見ることを誰より知っているのは主水自身だから。以下、勝手に想像する八の言い分(笑)。
 上司にへつらい疑問を持たず、本音を隠してうまく立ち回る姿勢が身についた薄汚れた自分たちと、三枝は違う。 まだまだ純粋な正義感と仕事への理想に燃える青年は、自らの危険を顧みることなく信じた道を突き進もうと無茶をするはず。
 でも単独で動いて報われるような甘い世界ではない。 ましてや今回の相手はかなり強力なヤクザ。裏の仕事の裏(証拠)を取るために三枝を巻き込んで、 彼が危険な目に遭うことのないようにしたい。 出来ることならお久とこのまま幸せになって欲しいし、そのためにももうこれ以上この事件と関わらせたくねぇ・・・。
 いつか三枝も、着任時に教えた『事なかれ主義』の意味を理解する日がくるかも知れません。 その頃には、理想も情熱も消え失せた平々凡々な一同心になってしまっているかも分からないが、 それでも普通に生きていられることの方が重要だと。
 弱い者の悲しみにいちいち応えようとしてたら、命がいくつあっても足りやしねぇ、 大事なのは石に噛り付こうがみっともなかろうが生きてゆくことなんじゃねえのか。 あたら命を捨てる覚悟で世間に掉さすことがほんとに価値あることなのか。 そんな誰の得にもならねぇドブさらいを金で引き受けるのが、おれらのような仕事人だ。 仕事人の片棒知らずに担がせるのは、こっちの都合じゃねえか。・・・なんて(^^;)
 ともかく秀は、八丁堀がわが身可愛さだけの為に拒んだわけではない、 むしろその逆で三枝を巻き込みたくない故の迷いだと感じたからこそ、 勇次を目力で制したんじゃないかなーと思いました。
 秀から勇次へのテレパシーは伝わったのか?緊迫したシーンの中、ここだけハレーションのような萌えが炸裂しました。 公式様あざっす!!

 はー・・・。暑苦しい語りはこれくらいにして先に進みます。 結局、この場は加代のレフェリーストップが入り強制終了。
「八丁堀も仕事に不服はないようだし。よく調べでからということにして今日はここまでにしようよ」
 いや〜な後味を残して各々が去ってゆきますが、一番冷静なのは加代だった。 とにかく三枝抜きで、事件にヤクザが関わったとの証拠を自分たちで掴めるなら良いってことね。

 しかしそうこうしているうちにも、ヤクザに寄生している直参旗本のドラ息子二名が、 鉄蔵に約した禄太郎の死の落とし前をつけるために、奉行所に対する報復の機会を狙っていたのでした。
 三枝とお久、すっかり良い雰囲気で楽しいデートの真っ最中。 そこに立ちはだかるドラ息子たち。真昼間、しかし不意打ちのことにてお久を逃がすも、 たちまち追いつかれて斬りつけられてしまいます。
 三枝様に向かって必死に手を差し伸べたが、力尽きて息絶える哀れすぎるお久。 おとっつぁんは病床にあるけど、こんなこと知った日には衰弱死決定だろう・・・。そう考えると結局犠牲者は日高様入れて四人。
 すっかり避けられてしまったが、単独行動の同僚の身を案じて探し回っていた八丁堀がやっと見つけた時には、 三枝までもが虫の息でした。三枝を抱き起す主水。
「中村さん・・・」
「だから言ったろう。まともじゃ生きていけねぇんだって」
 守りたかった後輩に告げるセリフに涙が・・・!これぞ中村さんの本音だったのです。 三枝は無言で微笑み、主水の腕のなかでこと切れるのでした。 苦い顔の八丁堀・・・もう何も言えん・・・。

 ・・・てなことで今回もだらだらと続いてしまいましたが、 話の中で二転三転ありつつモダモダと悩ましい展開を払拭するかのように、胸すくようなお仕事シーンで締めくくり!
 夜の盛り場を見回る根津の鉄蔵およびその手下二名。 三味線を弾きつつ雑踏の中を流しながら鉄蔵に近づいてゆくおりくさん。 秀は高いところから狙っていくのは通常運転ですが、 なんと勇さん、今夜はおニューの勝負服(キラキラ…☆)で屋根の上にてスタンバイ!
 まずはおりくが鉄蔵の行く手を遮るように目の前に立ち、 一瞬きょとんと足を止めたヤクザに嫣然と笑いかけた直後、人混みのなかでの堂々の瞬殺!! スッと脇をすり抜けて三味線弾きが離れた後から、ゆっくりと倒れる巨体。 そこではじめて親分が死んでいることに気づき、周囲から悲鳴が上がります。 死んだことに本人もまだ気づいてないんじゃ?というくらいの圧巻の早業でした(喝采)!
 そして背後で起きたことに気づかず、先に行っていた手下1を天から吊り上げて始末する色男! さらに吊られたまんまの仲間を目の当たりにした手下2。腰をぬかさんばかりに悲鳴を上げて逃げだしました。 その道の先に音もなく舞い降りたる黒装束!
 半狂乱で駆けてきた手下2、うずくまる黒い影に盛大に足を引っかけてしまいます。 的をつっ転ばした秀、素早く跳ね起きるとあやまたずその首根っこに簪の一刺し。 この一連の仕事も、勇秀の息ぴったりでなければここまで完ぺきに決まらない『愛の』コンビプレイと言って差支えないかと!! 賑わう界隈での華麗なる三人三様の仕事ぶりが目にも鮮やかでした(^O^) GJ!!
 さぁて、残るは主水。 今夜の剣の切れ味はまた一段と冴えるぜ。 飲んで屋敷に戻ってきたドラ息子二人を、庭先からスッと現れた八丁堀、 いつものように的にとぼけた声をかけることなく背後からいきなり斬り倒す。ハイまず一人目。
 ハッとしてもう一人がいまさら抜刀するも、
「招き猫の一件、ホントの裁きをつけてやる」
 ドスのきいた真顔の一言と同時に、真正面からの一突き。この人を怒らせると誰よりも恐い・・・。 立ち去る後ろ姿の重みに合掌。

 後日、勇次に秀が「てめぇの早とちりだよ」と指摘してるといいなぁ。 あ、でも秀がそんな根回しみたいなことをわざわざするとは思えませんな。
(勝手にいがみ合ってろ。ふん)
 むしろ加代が、後々三味線屋であの感じ悪ーい密談のいざこざを暴露し、 おりくママから「勇さんもまだまだだねぇ」と言われるほうが自然ですか。うん、そうに違いない(笑)。
 軽く落ち込んだ勇次、秀んちをなんとなく訪ねてゆき、火鉢をイジイジ。 落ち込みのわけを何となく察しても何も言わないで、 だるそうに焼き芋の皮を剥いてくれる天使に救われてしまえばいいと思います。 トホホな勇さんを見られるのは、秀の特権っつーことですねっ。


 それではこれにて終了。 今回も長らくのお付き合いを、ありがとうございました!



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