いや〜、この回ほんとにドラマチックな神回でした―――、って毎回言ってますか?
 一言で表すと、神回というかグッドフェローズ回というか。 推しの二人は言わずもがなですが、仕事人チームのそれぞれが持ち味を生かした立ち回りを演じていて、 胸すく思いで観られました。ここでいうフェローズは、仲間内の『奴ら(男女混合)』的なニュアンスで。
 それと、どん底に悲劇的な健気ヒロイン・おくみと共にテロの囮役になる足軽・俊平のものすげーーいい漢ぶり。 シャイで無骨な性格だけど、内に秘めたものは熱く揺るぎない。 片想いのおくみにひたすら寄り添い続ける献身的愛が、畳み掛けるような悲劇の中、最後までひと筋の救いの光でした(泣)。
 さらには裏の仕事の的となるクズメンズ。序盤は藩のために命をかける烈士と思わせて、 中盤から尻上がりにクズっぷりを増してくるところ。ありがとよ、そうでなくちゃ裏の仕事のカタルシスが半減するぜ!
 てなことで、今回も完全ネタバレでじっくりこってりと味わっていきたいと思います。 事の始まりは高松藩の若い藩士三人組が、とある江戸家老の主導のもと、 次期藩主となる若殿に対してクーデターを起こす計画を立てておりました。
 我が儘放題の若殿を江戸藩邸にいる間に粛清すべく、計画上必要となる囮として仲間に加わっているのが、 藩から連れてきたおくみと俊平という若い男女。 夫婦ではなく、俊平は武士ながらおくみと共に藩士の世話係のような立ち位置です。
 特におくみは、日ごろは郊外のアジトで藩士たちの身の回りの世話をしつつ、 生活費を稼ぐために野良猫を捕獲して三味線屋に皮を売る仕事をしている。 この顧客におりくたちが居たというわけです。こんな商売があるから自分ちの愛猫を犠牲にせずに済むわけで。 良かったなミーコ。
 さて、辻にほど近く通りに面した表店ゆえに、恰好の潜伏場所としておくみに目をつけられたはりかえ処。 ある日突然押し込んできた藩士たちによって、クーデターまでの拠点にされてしまうことに。
「ご迷惑はおかけしません!」
「もうかけてるんじゃねぇのかい!」
 取引先を巻き込んだおくみに即座にツッコむ勇次。 相手は首元に刃を突き付けて脅しているというのに、この親子まったくびびってません(笑)。
「勇次、しずかにおし」←母無双
 珍しく激高している息子を黙らせ、むしろいきり立つ侵入者たちをも落ち着かせるように冷静に口を開く女主。
「場所を貸すなら貸すで、どういう事情か説明するのが筋じゃないですか」
 おりくの態度に気圧されたか、リーダー格・西尾がおくみに計画について話をするよう命じます。 すなわち吉原帰りの若殿の輿を待ち伏せし、平民の直訴で行列の足止めをしている間に平尾らが若殿を討取るという。 おくみと俊平は囮として、平民役を務めるのです。 秘密を明かされたおりくも勇次も、無関係ながらクーデター完遂まで一蓮托生として巻き込まれることになりました。
 軟禁中も何度か隙を見て、「今ならや(殺)れるぜ?」と囁く不穏な息子を、 「あの子は身ごもってるよ、悪い子じゃない」と止める母。見抜いていたのは、おりくただひとり。
「身重じゃ手にかけるわけにはいかないし、もう少し待ってみようじゃないか」
 そう母に言われて黙るしかない勇さんも優しいですね。母が子供というキーワードに弱い?ことをよーく理解しております。 しかし人質の方がそんな密談してるってところが可笑しすぎるこのシーンw どっちが命を狙われてんだよって話です。
 そんな折、八丁堀がふらりと三味線屋に立ち寄りました。 昼間から戸を閉め切っている店先を不審に思い、開けろと催促。藩士に命じられ応対に出た勇次は、いつも以上にクールです。 すげなくあしらう伏し目の横顔がこんな時にもむだに色っぽいんですが(オールタイム全方位)。
 そこで高松藩の若殿を狙う反対派がどこかにいるらしいとの噂話がチラと出ます。奥で息を殺しつつ身構える藩士たち。 話ついでに図々しく茶を所望する八丁堀に塩対応の勇次。
「うちに帰ェって飲んで下さいよ」
「おめぇはいつもそれだ」
 八、秀んちでは作り置きの茶を勝手に飲んで文句を言われてそうですが。 そこまで踏み込めない距離感が絶妙なこの二人にも・・・萌。


 さて、場面変わって長屋では。
 外に出て来た秀、何かに誘われるように振り向きました。 朝飯に、加代が外で旬のサンマを焼いている芳しい匂い・・・。 腹掛けに半纏を羽織るも、帯はだらっと首にかけたまま(タオルかよ)、 パタパタと走ってくるワンコがここにおりますよ〜。
「うまそうだな」
「一緒に食べる?」
 気前のいい加代。秀即答、
「ありがてぇ。きのう飯抜きだったんだ」
 はぁっ、また!? たしか前回の仕事で一人当たり一両ずつ貰ってたよね、 一体何につかえばそんな簡単に文無しなるんだよっっっ(ゆさゆさ)! 前やってたように、仮に盛り蕎麦を連日十枚ずつ食べて散財したってそんな簡単には使い切れんはずだぞ?
 まさかあの仕事料を、順次郎と後追い自死した母親の手厚い弔い費用のため、 寺に寄進したとかいうのではなかろうな? それとも俺ももっといいものを作るからなと心の中の順次郎と約束し、良い銀を仕入れるのに全額使い果たしたとか? いや、かなりの確立で蕎麦よりもそのあたりの仮説が固いと思われます。
 ヒ、ヒデエル・・・。明日のまんまが食べられなくってもその時にしたいと思ったことに全部突っ込むのが、 天使の心意気なのか・・・おめぇって奴はくくくく・・・(妄想泣)。
 加代は不思議ちゃんの相手はもう慣れているのか、
「景気悪いしねぇ、うちの仕事もないし」
と珍しくがめつさを出してきません。 あるときはある者が出す。こういう長屋の互助システム、とてもいいですね。助かったな、秀!


 三味線屋で役人を追い返させた後。下手な真似が出来ないよう勇次を郊外のアジトへ移そうとするテロ藩士たち。 その時だけ、
「その子をどうするつもりだい?」
とおりくの鋭い声が飛びます。 その子(きゅん)。いくつになっても大事な我が子は「子」なんですよね。
 さてここでよかれと思ってした選択が、人質が仲間に繋ぎをとるチャンス到来(虎の子を外に出した)だったということを、 このクズメンズはまだ知らない。バカな奴らだ・・・。
 三人組がススキの揺れるアジトの外に勇次を縛り付け(萌えた。藩士がヘンな気にならなくて良かったぁ、と余計な心配)、 中で家老と密談している最中。三味線屋ではおりくがおくみに説得を試みています。
 おりくは店のなかに基本軟禁状態で会話するシーンが多く、 そのセリフがいちいち味わい深く本音を引き出す誘導も巧みで、室内心理劇のよう。 身重であることを見抜いていたと言い、まずおくみの度肝を抜く。 そんな体で囮なんて危険な真似は出来ない、 あんたの体はもうあんただけのものじゃないんだよ、と説きます。
 巻き込まれたことを怒るどころか、思いやりのある言葉で本当に案じてくれるおりくに対し、 頑なだったおくみもついに心をほどいて、涙ながらに真実を洗いざらい打ち明けるのでした。
 国許で半農半侍として狩場役人を務めていたおくみの父が、若殿の不興を買い銃殺されてしまったことが発端。 おくみは何としても父の仇を討ちたいと切望するのですが、そうすると同じ村で暮らす人たちも罪に連座させられてしまう。 それでおくみは、若殿でなく次男の若君を擁立させようと目論む反対派たちに目をつけます。 彼らの活動に協力することによって、何の力も後ろ盾も持たない自分の悲願を叶えようと考えたのです。
 しかしアジトでの共同生活で、藩士たちのフラストレーションは溜まる一方。 時にブチ切れておくみに八つ当たりするも、足軽風情と見下されている俊平がとりなしたように、 ここでの生活費もおくみの稼ぐ金だけに頼るという有り様。 いやそこは、反対派実行犯に家老からの資金提供がないのかよというツッコミどころなんですが。
 不満ゲージを募らせたクズどもは、各々が隠れて若いおくみを性処理にまで利用していたのでした。 だから腹に宿った命が誰の種なのかは、おくみにも分からないという衝撃の事実が判明・・・。 たった今それを知った俊平の激しい心の動揺が、無言のままに伝わってきました。 てっきり西尾と恋仲でその子を宿したんだと思っていたんですね。私もそうかと思ってましたが、 おくみの告白は想像を上回る人でなし連中の話でした。
「・・・それが藩の為、民百姓のため、世直しをする人のやることかね」
「世直しなんかじゃない。上の方の勢力争いですよ。でも私は、その話に乗るしかない」
 悲しいのは、おくみが洗脳されてるんじゃなく、連中も立身出世を目論むだけの武士に過ぎないことを誰より分かっていること。 大義名分を乗っけているだけで、若殿を害した後に派閥で権力を取り返した家老から、 重職に取り立てられることしか考えてない。 ただ、いま彼らに余計な水を差して計画がうまくいかないほうが、彼女としてもこれまでの艱難辛苦が無駄になるわけで。
 あまりにも酷い身の上に同情したおりくさん。 おくみの気持ちはわかるがどうにかして他の方法で仇が打てないものかと考えた挙句、
「闇の仕事人の話を聞いたことがないかい?」
と持ち掛けます。お金を払って頼めば晴らせぬ恨みを晴らしてくれると説明するも、
「そんな人がいるんですか。私にはもう国に帰る路銀しかありません。今のままやるしかない・・・」
 おくみは淋しく呟くのでした。


 そのころアジトの外では。見張りの隙をみて、小川の橋の支柱に縛られた勇次にこっそりと加代が忍び寄りました。
「なんてざまだい。助けてやろうか?」
 ありがたがるどころか、迷惑呼ばわりしてさっさと散れ!と威嚇する勇次。 そのくせ、「あっそう」と加代が去ろうとする間際で呼び止め、
「おい―――おい、念のため今夜、秀連れてきてくんねぇか」
 おーい加代、こんなクソイケメンほっといて帰っちまえー。これがひとにものを頼む態度でしょうか。 まったく秀といい八丁堀といい勇次といい、困ってるくせして可愛げないのがクソ可愛い。
 加代も即座に駄賃を要求し、勇次の懐から前金で抜き取るのがかっこいい!そうでなくちゃだよ。 そんでもって、例の桟橋の秀という天使やらかしシーンに繋がるとゆうわけなんですね!!
 はぁはぁ。加代の台詞を元に再現したのでここではもう割愛しますが、 勇次なんか知るかとプイしたのが思いっきりただのカッコだけ発言だったことは、 おりくの名が出た瞬間からの目にも止まらぬ変わり身で語られておりますね。その言葉待ってたんだろーがよ! 口許が思わずほころんでるのを見逃すはずがなかろうっ。 ったく見てるこっちが気恥ずかしさに悶えるわ!
 そして嬉々として(勇次のもとへ)駆け出す秀・・・オーイまだ昼間だってばよ―――――ドドドドドドドドド・・・・


 その夜、クーデター決行を目前にした三味線屋の室内で、 いままで本当にお世話になりましたと頭を下げるおくみを見つめるおりく。その背後に音もなく控える勇次。
 三人組に身ごもっていることを告げるよう、おりくは昼間のうちに助言していました。 そうしたら囮役になっても、あんたを見殺しには出来ないだろうから、と。 いくら何でも武士ならば、そのくらいの仁の心は持ち合わせているはずという意味で、 おりくは彼らの人間性にまだ望みをかけていたのですが。
 助言を容れ、藩士たちに話をするおくみ。いま俊平はここにはおらず、物見役として外に出ています。
「子供は自分が育てますので皆さんには迷惑をかけません、俊平さんが一緒に育ててくれます」
と前置きした上で、
「人質にされたおりくさん親子には一切の危害が及ばないように」
と、おくみは西尾らに約束を迫るのでした。
「武士に二言はない!」
 事あるごとに口にしていたセリフを吐き捨て、苛立ったように問答を遮る西尾、まったく信用ならん。


 吉原行きのため、若殿の駕籠とお付きの集団が店の前を通りかかると、俊平が知らせに駆け戻りました。 おくみらも含め、詰めていた他のメンバー全員が慌ただしく三味線屋を出て行きます。
 出て行った裏戸を閉めた途端、残された母子も即座に素早い行動に移る! な、なんと三味線屋の隠し屋根裏にはすでに秀がスタンバイしていたではありませんか!!走っていってここに潜んだと思われます。 (『金受け取っちまったからな。それとおりくさんの為だ!』)
 まず二人で協力しておりくを上にあげ、さらに勇次自身も秀の手を借りて軽々と飛び上がってきました! この時の三人の息の合い方がぴったりすぎて、私の方は過呼吸になったじゃねーかよ!(;゚∀゚)=3ハァハァ
 無事三人が屋根裏に収まったその直後、いま出ていったばかりのクズどもが戻ってきた!!
「いないぞ!?くそっ!!」
 真っ暗闇の室内を探し回った挙句、急いで出て行く連中を見送り、おりくが一言。
「やっぱり・・・」
 最初から三味線屋を利用した後で、二人を殺すつもりでいたのでした。 ということは、 おくみが身重だと告げたところで彼女たちの命は守られないと、 連中の腐りきった性根がはっきりと露呈しました。クーデターが成功したら同じように口封じで始末する予定でいるはず。
 屋根裏から外の様子を伺う三人。行列が差し掛かると、秀が窓から滑り出ます。 その時勇さんがごく当たり前な感じで、ボディタッチして送り出してやっていましたね(うふ)。いったい何をしようというのか。
 一行が広い辻に出たところで、囮のおくみと俊平が行列の前に飛び出してきました。 偽の直訴状を掲げて土下座し足止めをする。 計画ではこの囮にお付きの者たちが気を取られている隙に、本丸の駕籠の主を藩士たちが殺害するという流れでした。
 しかしお付きの侍の一人がおくみの顔を見て、それが以前若殿にお手打にあった狩場役人の娘と気づいてしまいます。
「逆恨みめ!」
 問答無用で斬りつけられ、腕などそれぞれ負傷するおくみと俊平。 そのどさくさで西尾らは若殿の殺害に成功。さらに混乱に乗じて、囮の二人をもこの場で消すつもりでいたのですが、 そうはさせるかといち早く動いたのが我らが仕事人! 突如乱入してきた勇次と秀それぞれが、入り乱れるテロ勢と侍たちを蹴散らします。 秀は簪はもちろん使わずに、 頭の上まで足が上がるほどの豪快蹴り上げが侍の顎にクリーンヒット! いいぞ〜やれやれ―――――い!!!
 二人が場を引っかき回してる間に、怪我した二人は加代の誘導でその場から逃げおおせることが出来ました。 町外れの水辺に用意しておいた菰の屋根付きの舟に一時避難。 護衛のために後を追っていった秀も、とりあえず彼らが安全な場所におさまったことを確認します。
 これまでの派手な暴れっぷりの気配は微塵もなく、ホッと目元を緩め微笑みを浮かべる秀!!! 誰にも見られていない時にだけひとり微笑む秀のシーン、たびたびありますね。 公式様によるファン狙い撃ちの弾に撃ち落されたカモがここにまた一羽・・・(萌死)


 翌朝。 朝霧が濃く立ち込める水のほとりで、葦の陰に腰をかがめて潜んでいる秀。 なんと秀ったら見張り役としてあれからずっと寝ずの番をしていたらしいのです! もちろん飯抜きだよな!グワーッ!!(声にならない号泣)
 と、そのとき霧の中からひとりの美丈夫が登場。桟橋を渡り舟へと近づいて行く。 そしてそのまま中を覗くかと思われたが、朝からぴしっと隙なくキメた三味線屋の色男はくるりと身を返して、 舟の縁に腰を下ろしました。誰かを探している模様。
 以下、心での会話。(推定)
『おーい、秀。お・は・よ・う・大丈夫か?』
 離れた場所からでもちょっと覗き込むようなポージングの勇次。
『・・・・・』
 テレパシーが伝わったらしく、ちらっと振り返ってみる秀。 桟橋歩いてた時には見向きもしなかったくせによ。(萌えすぎてバク転)
『オレが来たからもういいぜ。腹減ったろ』
『・・・ったりめぇだろ。死にそうだ!』
 フイッと立ち上がり、そのままいなくなる秀。 っああああ――――!このわずか十数秒の流れがどれだけ二人の心の距離の変化を物語るものか・・・。
 タイプ違いのイケメン仕事人二人がここまで呼吸を合わせて―――。ここも公式様の狙い通りとすれば、 どうやら別の腐ァンの琴線をもかき鳴らしてしまったようですね(邪笑)。 名画のようなシーン、ご馳走さまでしたっす!!


●後半に続く…



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