よぉーーし、今回はさくさく短くまとめていくぜ!そう、気持ちだけは短く簡潔に・・・。
 今回、勇秀的には接点が少なかったものの、話そのものに面白い仕掛けがあったことと、 ちょっとした場面で萌えるセリフや一時停止で二度見シーンが出てくるので、いつの間にか終わってたという感じでした。
 なんといっても今回はおりくさん登場。やったー! 勇さんってば母が留守中は昼間からぶらついて不憫な女のための探索したり、 秀んちに(用もないのに)立ち寄ったり好き放題やってたくせに、 母が居る時は真面目に店で仕事に精を出していますね。この陰日向ありのマザコンぶりがたまらんです!

 何でも屋に持ち込まれたのは、なんと殺しの依頼。 娘の仇を討ってもらえるよう『仕事人』を探して欲しいと、一両の金を押し付けられる加代。 晴らせぬ恨みを金を貰って晴らしてやる存在がいることが、ここまで周知されているのですね。だからこそバレてはならぬ。
 さっそく集まったのは八丁堀と秀と加代。 三人だけで話すということは、三味線屋とはまだ一線引いているつもりではいたんですね。って何を今さら感。 だが八丁堀は公儀の仕事で出られないという。案の定「勇さんにも相談しようか?」と言い出す加代を、秀が瞬殺。
「余計なことすんじゃねーよ!森田屋がどんな奴か、俺だって知ってら」
 勇次と聞くなりイキりだす厨二乙。 こないだまでの自然体なツーカーぶり、あの恋する瞳はなんだったんでしょうか。ってさらに今さら感。 第一そんなにムキになると、意識してるってかえってバレバレだっつのwとすかさず画面につっこむ恵比須顔の私。
 でも八丁堀は、秀が勇次を拒否ったことがよほど嬉しかったと見え、ゴキゲンで秀を送り出します。
「あんまり気負うなよ(笑)」
「気負わずに仕事ができるかよ(ふんっ)」
 何このかわゆいヤンキー?●したい。←代理勇次

 単独で仕事に駆ける秀。夜間のひとり歩き時を狙う手筈の森田屋が女連れだったことから、話が違うと仕掛けるのを躊躇する。
 すると突如、屈み込んだ連れの女が森田屋の足首を掴んだかと思うとすごい力でひっくり返し、石段の上から突き落とした! 転げ落ちた森田屋は血まみれで即死。女は即座に立ち去ります。
 翌日、加代にゆうべ目撃した事を話す秀。とりあえず的は死んだが自分は手を下さなかったからと、 貰った一両を返そうとする律儀者です。 しかし加代も一両から斡旋料引かずに丸々秀に渡すって珍しいこと。「貰っときなさいよ〜」なんて言ってあげてるし。
 他の仕事人にも頼んでたのかなぁ、と加代は念のため依頼人の老夫婦の自宅を探ってみるが、 会話からしてどうやらそうでもないらしいのです。
 ということは、おりくさん以外にも女の仕事人がこの江戸に他にも居るってこと?という謎に繋がるのでした。

 なんだかんだと、いつの間にか三味線屋も仕事の話に加わっている隠れ家密会シーン。
 勇次のことは色々悪く言うくせに、秀も八丁堀もおりくさんには何も言えないところが好き。 ま、勇次も盾突けないくらい無双だからムリもないですよね。 おりくさんがいるときだけ、裏の仲間内の序列が微妙に変わる気がします(笑)。
 集まった理由というのは、 最近秀が表の仕事で関わっていた腕利きの人形師・順次郎が、森田屋とまったく同じ手口で死んでいるのが発見されたこと。
 怪しいのは、師匠の跡目を順次郎と競っていた兄弟子・総吉と愛人お袖。 秀はすぐさま二人の住いに忍び込み会話を盗み聞きしますが、 順次郎を直接手にかけたとは思えなかったと、隠れ屋で皆に語ります。 ちなみに森田屋が突き落とされた時に一緒にいた女も、お袖ではなかったというと、勇次が口を挟みます。
「秀、そいつは確かなのか?」
 何となく話に割り込む感じの勇さん。森田屋の仕事の件なんか聞いてねぇぞ、と微妙に皮肉ってる気もしますが、
「ああ、それは間違いねぇよ。もし本当なら俺が座敷に踏み込んでたぜ」
そこで秀、待ってたかのような呼吸の合わせ方で、勇次の不満をねじ伏せる。(本人無自覚)
 ムフフ、今回なんだかやけに血気盛んな秀かわゆす。するとそこで、すかさずボス・・・おりくが爆弾発言投下。

「秀さんの性質はあたしがよく知ってる。それが我慢が出来るんだから、別人だろ」

 ええええっ?こっ、このセリフ!!!? あたしがよく知ってる?いっいつの間に!?
 えーとえーと、これっておりくさんからの【うちの嫁】 発言ってことじゃ――――― !!!←盛大な読み替え
 たまに帰ってくる度に、なぜかしら倅との会話の中で増えて来る秀の話題。
(まさか勇さん・・・)
と未来の嫁候補として、さり気なく秀の人となりを観察していたからこそ出たセリフとしか思えぬ!! 母の断言に、心なしか勇次が固まってるように見えたんですが。
 腐ィルター妄想が疾走しすぎてその後の会話があまり頭に入らなかったんですが(オイ)、 人を見る目にかけて人後に落ちないおりくさんは、「惚れた男にまっしぐらのお袖が口を割りっこないよ」と見立てるのでした。

 さくさく行きます。
 狭い路地に雑多に店が立ち並ぶ、場末っぽい雰囲気の界隈を巡回中の八丁堀。 そこに剥き出しの三味線を無造作に掴んだ色男さんが、どこぞの店からすいっと出てきて登場。 八丁堀を見つけて人混みを掻き分けるも、 あまりにも場にそぐわないイケメンが降り立ったため、 路上にしゃがんで何かやってた女(オ●マ?)たちが一斉に色めき立ちます。
 掃き溜めに鶴のたとえを表す最高の例を見ました。 思わず手を伸ばして触ろうとした女を、別の女がすかさず阻止。 『あんたっ、勝手に汚ェ手出すんじゃないよっっ』ってな感じでしょうか(笑)。 放つオーラが眩しすぎて近づけない声も掛けられない・・・。 こんな町人いる?(ここに)
 ゲイガールズに軽く引きつつも、自分がその場にいるせいで生み出した女たちの小競り合いには、 まるで無関係といった顔で擦り抜ける。そういうとこだぞ! かくして八丁堀とざっくばらんに打ち合わせをするのでした。

 さて帰宅した勇次、居間で猫を抱いてくつろいでいたおっかさんに、持ち帰った三味線を見せます。 このとき後ろからのアングルで、 小腰を屈めた勇さんのシャープに締まった腰と、 小粋に小さくまとめた角帯から下の、お尻〜長い脚の着流し越しのラインの色っぽいことと言ったら! 全方位全方向イケメンで目のやり場に困ります(ガン見)。
「古いがいい品だろ?」
 つまり、昼間に行った界隈の店で品定めして手に入れた、ママへのお土産だったんですね(ふんわり)。 何だかんだでおっかさんが居ることが嬉しいらしい勇さんがいいですねぇ。 そして二人で色々酸いも甘いも噛み分けた会話をしながら酒を呑む。 男と女でもあり、人生の苦楽を共有してきた戦友でもあり。 こんな親子関係、現代の母と息子に置き換えられるくらい新しい。当時としても時代の先取り感があります。
 しかしその古い三味線に書かれたサインに見覚えのあったおりく、ハッとして何事かに思い当たります。 勇次は元陰間らしき女から買い取ったのですが、 この三味線の元の持ち主こそ、正体の分からないままだった森田屋を殺った女仕事人ではないのかと。
 というのも、その陰間・花蝶は元々は藤之助という人気女形で、 大奥の寵愛を受けていた時代に何の間違いか、殺人の罪を犯して行方をくらましてしまったのでした。 その後は女の姿に身を変えて、金の為に人殺しの依頼を受ける仕事人を名乗って芸州(広島)を中心に活動していましたが、 おりくはその花蝶のせいで公儀の詮議を受け、 捕まって拷問を受けるという窮地に追い込まれた過去があったのです。
 その遺恨の仇敵が謎の女仕事人の正体であることを確かめて、 お袖らと花蝶の共謀、および順次郎や師匠殺しのからくりが明かされたのでした。

 出陣シーンは、今回みんなバラバラに異なる場所で仕事をしていましたが、 なんといってもおりく&勇次vs花蝶の対峙シーンが最高でした。
 灯篭の並ぶ人けのない境内に花蝶を呼び出したおりく。 私恨だけではなく、仕事人とは名ばかりの外道の殺し屋に引導を渡すという、 おりくならではのけじめでしょうね。
 隠し持った短刀でおりくに襲い掛かる花蝶。しかしそれを阻んだのはどこかで会った覚えのある色男。
「三味線屋さん・・・。あなたも―――」
 思わず口走る花蝶。その問いかけに対する勇次の返答がもうクッッッソかっこいいーーーー!!
「蛙の子は蛙さ」
ぐっはぁぁあああ―――――(喀血) 蛙というより猛虎って気がしますけど・・・
 は?親子で仕事人?そりゃボー然となるわなぁ、花蝶。 でもね、ふたりが背負ってる母子の縁(えにし)はもっとはるかに壮絶で深いんだよ!!(と私がドヤ顔る)
 息の合った華麗な連携プレイで、最終的にはおりくがとどめをさすのでした。 石灯籠の蝋燭の炎で三の糸を焼き切り、 母を振り向きざま会心の微笑を浮かべるパーフェクト・サン。 こんな息子いたらマジで旦那いらねーわ!むしろ邪魔?

 細かいところを挙げてゆくとキリがないんですが、最後にもう一つ。
 話は前後しますが、冒頭で秀のうちで順次郎が人形の打ち合わせをするシーン。 着物の柄など細部に渡ってこだわり、素晴らしい人形を作りたい順次郎の真摯な姿勢に共鳴した秀もまた、 真剣な面持ちでアイデアを考えています。 腕のいい若い二人の職人が共同作業で良いものづくりをする。いい場面だなあと思いました。
 さらにその数日後、川でスケッチをする秀を見つけて声をかける順次郎。
「簪に波の模様を入れたくて」
と言って黙々と写生にいそしむ秀。こうやって日頃から自然観察と鍛練をコツコツ続けているんですね。 たまに釣りに来た勇次に見つかって絡まれたりして(はぁと)。
 順次郎宅に訪ねていくと留守だったけど、勝手に上がり込んでるし。 そこで出来上がった人形を見つける秀。 人形のかんばせに呼応するかのような、優しく美しい微笑みを浮かべる天使職人にキュンとしました。 そして持ってきた簪をソッと挿してあげるのです。 ここまでのディテールにこだわった製作陣営に最大の拍手と賛辞を!!!ありがとう公式様!!!
 あ〜あ。それにしても筋書きで仕方ないとはいえ、順次郎には生きて名人と呼ばれて欲しかったです。 それぞれの仕事に敬意を払って切磋琢磨できる、同じくらい腕の立つ(話のわかる)職人の友達?ってなかなかいないと思うから。
 裏稼業では的を狩る目的は同じでも、いつか別れがくる未来が前提で「いまここ」での関係を築いていくしかない。 その刹那のぶつかり合いとか明日をも知れぬと知りつつの心の結びつきが、萌えを発動させてくれるのでしょうけれど。
 こんなに頑張ってるのに悲しすぎる別ればかりのヒデエルには、ささやかな幸せ掴んで欲しい・・・というのが全私の悲願。 結局なにが言いたいかというと、一言にまとめます。

「勇次、はよ秀を嫁にしてしまえ(母公認)・・・いや、してしまってくれ!!!」

 やっぱり全然短くならなかった・・・。 お付き合いありがとうございました!ここから妄想小話です。


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 裏の仕事の後、一度だけ見ることが出来た人形の髪に挿してあった簪は、 ひとの親指の爪ほどの大きさもない銀の表面に、繊細で優美な波模様が刻み出されていた。
「居るかい」
 下から声をかけると、ヒョイと覗いた顔はいつも通りの無愛想だったが、 秀は黙って梯子を降りて来てちゃぶ台の前に腰を下ろした。 勇次も上がり口に腰かけ、用向きを切り出す。
「八丁堀が今朝店に立ち寄ったんたが、例の人形、順次郎の銘入りで送られたらしいぜ」
 総吉とお袖が師匠の玉山から奪わせた順次郎作の人形は、尾張藩の姫の元へ無事上納されたようだ。 跡目争いで一番有力視していた内弟子の不審死に続き、自分までもが謀殺されるとは玉山自身思いもよらぬ事だったろう。 しかし、人形師順次郎の名は後の世まで残るであろうとの生前の予言は、これで叶ったことになる。
 外道の仕事人・陰間の花蝶の裏仕事を一度は目撃しながら、 順次郎に迫る危機を回避出来なかった自分を責めていた秀にとって、 せめてもの救いになるだろうと思いすぐに知らせてやりたくなったのだ。
 うつむき加減にそうかとだけ答えた秀の黒目がちの瞳がちらと動いて、こちらの目の奥を捉えたことに勇次は気づいた。 ここ最近のまなざしの変化に、秀は自分では気づいていないようだ。
 勇次は胸が淡く波打つのを感じて、思わず話を変えた。
「ところで秀、おめぇの細工にもちゃんと名入れはしたんだろうな?」
 思ってもみない事を訊かれた様子で、秀がきょとんとまばたきをした。
「いや?なんでそんな事訊くんだ?」
「なんでって―――。職人なら誰だって、てめぇが関わった品には名を残したくなるもんじゃねぇかい」
 他人の作を自分のものと偽るのは悪だが、人形の為に秀が丹精込めた簪までも、順次郎の手柄にすることはない。 だが秀は、手を伸ばして二人分の湯呑に作り置きの茶を注ぎ分けながら、いかにも興味なさそうに首を横に振った。
「さあな。俺には必要ねぇな。好きなものが思ったように作れたんなら、後のことはどうでもいい」
 人形の髪に挿してやった時のことを思い出しているのか、無欲な言葉を裏打ちするかのような満ち足りた呟きだった。
 勇次はぬるい茶を熱く啜るふりして、ため息ごと飲み干す。 あの人形に挿した簪を目にした瞬間、前触れなく沸き上がった感情。 それが目の前の職人に対する名状しがたい切なさであることを、こんな風に気づかされるとは。
 秀の創り出すものは、秀自身によく似ている。何か考えるよりも先に、まず目が吸い寄せられる。 心を掴まれる。美しいと思った時にはもう、胸の痛みさえ感じてしまうほど。
 何も望まないこの男は純粋に美しい。それが哀しいと思う度に、また惹きつけられる。



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