冒頭、蛍が出て来たので、よもや妖精復活!?(※無印第9話レビュー参照のこと)と期待したら、 今回はおっさんの妖…怪?の登場でした(ごめん)。
 菰わらで囲っただけの小舟のなかで身を売って暮らす17かそこらの少女・おしんと、 その弟なのかまだまだ母親の恋しい年頃の男の子・文太。
 どぶ河岸で商売する売春婦を一掃するよう田中様から仰せつかった八丁堀ですが、 めちゃくちゃ気が強くて可愛げない(面は可愛い)おしんの抵抗には手を焼いています。 追っ払うならちゃんと責任取れとあべこべに強請られて、ガキ共の落ち着く先を見つけねばならなくなり、 連れてきたのはやっぱりいつものところ。

 家なき子のおしんですら「きったない長屋!」とディスった錺職人のあばら家(余計な世話だ!by秀)には、 今日も当たり前のように勝手にひとが出入りしております。 仲間うちで一番若いのに、口も態度も悪いのに、なんでこんなに慕われるかな?ってなもんですよ。(笑顔)
 人探しを加代に頼みに来た八丁堀との会話は、なぜか秀んちの土間(笑)。 そこでかりんとうかなんかをぼーりぼり貪りながら立ち話をする加代。前回の恋の痛手から立ち直ってるようで良かったね。
 家主はずっとロフトで黙々と細工に励んでいて、大抵無言。 相手しなくても下で勝手に話していき、勝手に出て行く面々。 むげに追い出そうともしない秀だけど、しっかり話は聞いていて、 いざという時はすぐに降りて来て尾行とかに駆け出してゆく。表も裏も仕事熱心なところがたまりません。
 二作品続きで秀が口を利く場面が極力少なかったのに、とても萌えました。 今回は勇次との接点が少ないように見えて、阿片窟を探った後の秘密を勇次が母に語っているあたり、 やっぱり秀が勇次に“個人的に”伝えに行ったわけですよね(;゚∀゚)=3ハァハァ さり気ない証拠提示をありがとう公式様!!

 おしんの鼻っ柱の強さに怒り狂った加代から突き放された後、 ひょんなことから問題のガキどもは三味線屋・おりくに助けられます。
 子ども達にご飯を食べさせながら,、満面の笑顔で見守るおりくさんの表情がたまらなくいい! しかも、何か訊き出そうとする度にイラッとする可愛げない態度で突っぱるおしんに対しても、
「無理に訊き出そうとしてごめんなさいね」
と柔らかく謝り、無理強いも深追いもしない。気長に投げ出さず、どこまでも相手の立場に立って寄り添い親身になってくれる。 海の如き懐を持つ女(ひと)がおっかさんだなんてよぉ・・・羨ましいぜ、勇次!!
 こんなおりくさんに、勇次の子ども時代はどんな育てられ方をしたのか、 思春期の反抗期(あったの?)にはどう対処されていたのか、いろいろ非常に気になるところです。 もしかして他人と身内とでは別の顏を見せるのかもしれませんが。(恐)

 大人を一切信用せず、他人の手を借りずに自分の力だけで生きてゆこうとするおしんには、 母親に捨てられるという悲惨な過去がありました。
 実は文太は赤の他人で、親とはぐれた孤児。だからおしんは、自分と同じ境遇の文太を弟のように可愛がり、 身を売ってでも自分が守り抜こうとしていたわけです。 おしんの理不尽な大人たちへの怒り悲しみがあの態度だったと思うと、後から哀れさが増してきます。
 その後、女郎の連続殺害遺棄事件の主犯格が実母と判明し、 さらに口封じとして遺棄を目撃してしまった文太を殺されるというダブルパンチ。 文太を連れて逃げようとしたおしんもヤクザに斬られて手負いになります。少女を襲うこれでもかと言うほどの酷い運命。
 何もかもを失ったおしんが、最初で最後のお願いを他人に出来たのが、敵討ちの依頼だという顛末が壮絶・・・。 じつは健気っ子だったおしんが唯一心を開かせたのが、 気丈な少女の隠し持つ悲しみや怒りや優しさを見抜いていたおりくさんだったのですね。

 三味線屋の居間で、仕事料を分配する場面。
 文銭ばかりを紐で繋いだささやかな依頼料は、おしんが身を売って稼いだ命そのもの。 秀がそれを手にし、「これほど少ないんなら目分量で」とスッと取り出した簪で紐を断ち切るシーンが実によかったです。 しかし何故に秀が仕切る!(笑)
 仕事はまたまた勇次と揃って息の合うプレイ(なんの?)を見せてくれました。 何も会話してなくても、すっかり磐石のコンビぶりに色々妄想が捗りますよ、公式様!!(最敬礼)

 あと最後になりましたが、忘れちゃいけない、今回の中村家のコントシーンについて。
 ジェントルマンだった師匠が、なぜ急に手のひら返しのような冷たい仕打ち(稽古打ち切り宣言)をしたのか。
 考え直してくれるようしつこく頼む八丁堀には、せんりつの才能の無さと言っていましたが、 あのシラケた態度の中にも何かもの言いたげな三味線屋の二枚目の表情に、 私は真の理由は別にあるのでは!?とハタと勘付きましたね。

すなわち、
元凶は十七話における八丁堀の所業かと。

 十七話で家を追い出された八丁堀ですが、 その足で迷いもなく秀んちに押しかけて居候を決め込む。 あまつさえ役宅以上に寛いだ様子で居間でごろ寝。その姿、長年切れない腐れ縁の情夫(まぶ)・・・。
 母が心配するのでその後の加代の様子を探りに来て、たまたまそれを垣間見てしまった勇次。
(どっ…どうゆうことなんだ秀っっ!?なんであの種無しがここに―――?泊まらせるのはオレだけのはずじゃ!?)←大誤算
 動揺を押し隠して裏の仕事はこなした(プロとしての意地)ものの、どうにも収まらない肚のうち。 かくして、二本差しへの個人的な遺恨による嫌がらせが、せんりつ母子へのとばっちりとして跳ね返ったという・・・。
 そういう大人げない裏事情が、急展開の師匠の手のひら返しから容易に察せられるのですが、いかがでしょうか? ちなみにその後のあっさりと前言撤回の理由に関しても、 秀の無自覚の神対応が何かしら関係していると思われますね。酒持参で訪ねて来られしかたなく泊めてやったとか(°▽°)!

 勇秀の民としてはっきり申し上げたいのは、十七、十八話はこの考察が一番書きたかったところです、はい。
 世迷い言にお付き合い頂きありがとうございました。



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