ムダにモテまくる勇次の受難?いや半分くらい自業自得の回を観て。 ************************************* まずストーリーのつっこみどころから先に挙げると、暑中見舞いで得意先に配った特製『勇』印入り手ぬぐいを、 殺しの濡れ衣として辰巳屋の善松に利用されたのかどうか、はっきりせず仕舞いだったような。 探索した秀が、自分ちに逃げ込んできた(!)勇次に投げかけるセリフから察すると、意図的に仕組まれた感じでしたが。 善松と組んで押し込みを働く江戸詰めになった田舎侍たちがバ〇単純すぎる。 下級武士の身分で金まわりが急によくなったのを藩邸内から怪しまれないのおかしくないか? 悪党たちの行動原理に釈然としないところはあったのですが、仕事うんぬんよりも今作の主眼は、 仲間内で孤立する勇次のピンチに一蓮托生で動くまでの流れでは、と個人的に思いました。 一匹狼として距離を置くつもりが自分の表の仕事のために窮地に陥り、裏の仲間に借りを作ってしまう勇次。 秀(たち)に対して築いてきた防壁を崩さざるを得ないという視点から、あれやこれや萌えるエピソード満載の回でした! 白眉は秀が勇次と出稽古先でニアミス後、先回りして帰り道に待ち伏せする場面。 橋の欄干に座ったまま、背中で皮肉をふっかけて引き留める。遠くからのアングルで見ても絵になる二人の構図が実に美しい。 そういや第一話の初対面にして川辺でのタイマンシーンも、対比がすばらしい映像美でしたね。 表の仕事にわざとケチをつける秀の挑発を軽口でかわすも、その手は俺には通用しねぇと言わんばかりの真剣な秀に、 ようやく裏の顔を覗かせる。秀の本気に引き出されたって感じ? 「おめぇたちには迷惑はかけねぇ」とシリアスに答えた直後、綺麗どころの姐さんたちが黄色い声で駆け寄って来ました。 「勇さんどこ行くの?連れてってぇ?」「おお、いこいこ」 勇次が瞬時にチャラ男に戻った(笑)のと同時に、欄干からヒョイと下に飛び降りて消える秀の、動物的な自由さに悶えます(はぁはぁ)。 そもそも橋の欄干に川面を向いて腰掛けだよ!まっとうな成人男子なら子供っぽくて出来ないようなイキリ行動を、 あくまで自然体で取れる妖精秀。猫のように無造作に飛び降りつつ、「へっ、くだらねぇ」みたいなシラケ顔がまた堪らんです(はぁはぁ)。 さらに別の場面。まだまだ勇次を信用してないくせに、 八丁堀が三味線屋を河原に呼び出したと報せに来た加代を追い抜き、自分がいち早く駆け付ける。ちなみにこの時も橋の上から飛び降りてます。 澄ましたキザ男がイラつくが気になって仕方ないって心情が、荒っぽい行動に出ていてやることなすこと可愛いんじゃ〜!!(発狂) そのナチュラルボーンな健気さに、色悪が気づいてないと思ったら大間違いだぞっ。 危険すぎてこの頃の秀が無印のミニスカ着用じゃなくて良かっ……いや、無念過ぎて夜もおちおち眠れません(寝不足)。 またまた車掌の運転ミスによる脱線でダイヤが大幅に遅れて(乱れて)しまいましたm(__)m 以下、今回の創作小話です。すでにおまけでしかない感。 ************************************* 腑に落ちねぇ。 探索に動いてるのは俺の勝手だが、要は三味線屋の尻ぬぐいじゃねえか。 しょっ引かれたくなかったら下手人を挙げて来いと八丁堀は言った。 あいつはムリだと突っぱねて立ち去ったが、あくまで俺たちと手を組むつもりはなさそうだ。 意地を張りやがって。本音はけっこう参ってんだろ。 端唄を教えてる得意先ばかりこう立て続けに押し込みにあえば、てめぇの仕業でなくたって疑われる危険は感じてるはずだ。 もし捕縛されちまったら八丁堀が口を塞ぐってことも分かってるくせに。 とは言え俺だって顏を知ってる人間が殺されたと聞いちゃ、高みの見物を決めこむのも寝覚めが悪ぃ。 辰巳屋の番頭の動きが臭いんで探ってみたが、断じて三味線野郎の為じゃねぇ。 そもそも名入りの手ぬぐいを配るなんざキザな真似をするから妙な因縁が付くんだ。 配った数は百を下らねぇ?ふざけんな。ツラの皮一枚上等ってだけであっちこっちのお内儀や娘にひっぱりだこたぁ、 師匠ってなずいぶんと楽な仕事なんだな。こちとら夜なべしてやっと一本の細工を仕上げても、大した金にはならねぇってのによ。 大体ぇ俺は、あいつの唄を聴いてもなんとも思わねえ。 ヘタクソな教え子たちに適当な世辞を言って愛想振り撒いてるのを見るだけで、便所の上澄み見るみてぇに虫唾が奔るんだ。 表の仕事してる時のあいつは、俺に言わせりゃ人形みてぇだ。雛人形に心が無ぇのとおんなじだ。 上っ面ばっかり奇麗で何考えてるか分からねぇ。冷てぇのは、あいつの表のほうだ。 裏の仕事がらみで会ってる時のほうがよっぽどいいぜ。ホントの顔はそっちなんだろ? 調子のいい軽口より、あの低い囁きのほうが俺の耳には心地いい。 すかした笑いを向けられるより、剃刀みてぇな目で睨まれるほうがよっぽどぞくぞくすらぁ。 ……ああ。嫌んなる。何でこんな事考えてんだ。あいつの事なんか気にしたくもねぇのに。 ************************************* ★ 妄言ノ間「目次」に戻る
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