被害者が可哀想すぎる話でした。もちろん毎回どの依頼人も可哀想なんですが、この松吉っつぁん、お人好しが過ぎません? 偶然見かけた蕎麦屋の災難を見過ごせず助け舟を出した善意が仇となり、 三十両の金の代償として人殺しの下手人の身代わりになるなんて、こんな人がいていいの!? しかも自慢の一人娘・お咲(岩崎良美)も実は血の繋がりはなく、男手ひとつで育て上げたとは。 けた外れのお人好…もとい善人が今回の主役です。 シリアスな内容ながら、『タッチ』のテーマがずっと脳裏に流れてました(笑)。 ******************************************** 家族で外食中、893たちと松吉の喧嘩の場に居合わせた左門でしたが、裏稼業を持つ身としては下手な動きが出来ずグッと堪える。 それを娘に幻滅されてプチ反抗期されてしまいます。そうよね〜、美鈴ちゃんにとってお父上は正義の味方。 話しかけたのを無視されてショックを隠せない左門が可愛不憫。 ここでも涼さんは、夫の考えあってのことと何も訊かずに見守ってくれてます。 「いつかは分かってくれますよ」だなんて、まるで夫の秘密を知ってるかのようなナイスフォロー。 罪と愛を双肩に背負って生きる男にとって、まさに聖母のような女性ですね(『聖母たちのララバイ』 by 岩崎宏美)。 将棋会所で元締めに目撃した喧嘩の話をすると、その場で踏みとどまった忍耐を誉められる左門。 「仕事人は昼間は死んだふりして―――」の鹿蔵さんの科白が白眉でした。 893の背後で糸を引く井筒屋に陥れられたとようやく理解した松吉っつぁん。 自分は身代わりの罪人役を三十両と引きかえに請け負っただけと、奉行所で必死に無実を訴えるも聞き入れられず、 無情にも斬首という非業の死を遂げることに。 ここで娘のお咲までもが○○されたり殺されたりしなかったことが唯一の救いではありました。これ以上の悲劇は耐え難い。 裏の頼み料が娘の嫁入りの為に松吉が貯めた小判とは、最後の最後まで不憫すぎました。 人として間違ったことはしてないのに、善良さを狙われた松吉の人生って・・・。 しかしこういう見てられないくらい危なっかしい人、一途にコレと思い込んだらてめぇの危険をかえりみず突っ走る直情タイプ、 どこかで見たことがありますな。 わああああああ、秀もほぼこのタイプに該当じゃねーか!! 松吉ほど単純明快じゃないとは言え、惚れた女でも絡んだりした日にはこうゆう無茶をやりかねません!! ただし堅気でないのが幸い(?)し、 暴れ駿馬を引き留める腕力と説得力を持った大人の男たちが周りを固めてるのでそこはちょっと安心。 そうか!だからこそそんな秀を生き延びさせる為に、ライバル兼ナイト役としてのクールな三味線屋と出会うことが、 遠くない未来に運命づけられていたってぇわけですかい。フヒッ。遠大な愛の設定ありがとうございます、公式様!!(無理やり繋げた) ところでこの回では、中盤に長屋での裏仕事シーンも入って二度美味しいんですね。 悪事を知られた秀を口封じに始末するため、893の手下二人が住人として長屋に潜入。 自分が狙われていることは秀も勿論知っていて、それを隣の左門との連携プレーで見事に返り討ち。このシーンめちゃくちゃクールでした! いつ来るか分からない襲撃に備えて警戒を怠らない左門の、家庭での様子がスリリング。 折しも雨の降る夜、ついに秀を襲うため(意味深)忍んできた二人組の気配を察知する。 細工に熱中してるフリをしながらすでに臨戦態勢で待ち構えてた秀(この時の気配を読む目の配り最高!)と、 賊乱入直後に屋根裏をつたい秀宅に忽然と現れた左門の、華麗にして静かなる瞬殺劇。 奥様が覗いたときには何事もなかったように、襖の陰で狸寝入りを決め込む左門・・・すっかり仕事人の顔になってやがる!! 一回の仕事ごとに、めきめきと手際も精神面でも成長してゆく左門に萌えます。 金を貰って人を斬ることへの苦悩や抑圧感は溜まる一方だと思うんですが、早くもセルフコントロールが出来ている辺り、さすがは武芸者。 わりと真顔で脱ぎっぷりのいいところやチラ見せどころの話じゃない裾のおっ広がり具合にも大・大興奮です(白状)。 この分だと、場数では先輩のはずの秀がじき追いつかれて(抜かれて)しまいそうですね。 判断力とか感情の制御とか危ういところはあれど、秀の仕事ぶりや人間性は認めていることを態度で示してくれるのが左門の懐の深さ。 ここぞという時には機転を利かせて、若造の行動を制したり鉄拳制裁も辞さずとは、 身近な年上としての役割を自ら引き受けてるナイスガイ感がダダ洩れっす。 侍は大嫌いなはずの秀が左門に対してはそれなりに心を開いてるのも、左門の人柄あってのことと思われます。 八丁堀に態度の差をつっこまれた時、『あの人は浪人だから侍じゃねーし』って秀なりの言い訳があったら可愛いですが。 秀が無自覚なまま、左門を "心の兄貴" として慕ってゆく経過をじわじわ期待しております! ★ 妄言ノ間「目次」に戻る
★ homeに戻る
|